“憎(にくみ)” の例文
夫れ憎(にくみ)を天にうくる一切の邪惡はその目的(めあて)非を行ふにあり、しかしてすべてかゝる目的は或は力により或は欺罔(たばかり)によりて他を窘(くるし)む 二二—二四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
或は人を妬(ねたみ)憎(にくみ)て我身独(ひとり)立(たた)んと思へど、人に憎(にくま)れ疏(うとま)れて皆我身の仇と成ことをしらず、最(いと)はかなく浅猿(あさま)し。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
お前は己が愛をも憎(にくみ)をも閲(けみ)して来たように思うであろうが、己はただの一度(ど)もその味を真から嘗(な)めた事がない。つい表面(うわべ)の見えや様子や、空々しい詞(ことば)を交して来たばかりだ。
「今度の事を見ても、如何(いか)に間が恨まれてゐるかが解りませう。貴方(あなた)の手代でさへあの通ではありませんか、して見れば貴方の受けてゐる恨、憎(にくみ)はどんなであるか言ふに忍びない」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
恨(うらみ)も憎(にくみ)も火上の氷、思わず珠運は鉈(なた)取落(とりおと)して、恋の叶わず思(おもい)の切れぬを流石(さすが)男の男泣き、一声呑(のん)で身をもがき、其儘(そのまま)ドウと臥(ふ)す途端、ガタリと何かの倒るゝ音して天より出(いで)しか地より湧(わき)しか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
樫(かし)の木(き)よ、憎(にくみ)の階(きざはし)、尊(たふと)い神木(しんぼく)、わたしの悲しい心の悦(よろこび)。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
二つの物の間には、深く根ざした、古い憎(にくみ)がある。
この燃え立って取り巻くのは、愛(あい)か、憎(にくみ)か。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
第三〇課 愛・憎(にくみ)
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
嫜の方の朝夕(ちょうせき)の見舞を闕(かく)べからず。嫜の方の勤(つとむ)べき業(わざ)を怠(おこたる)べからず。若し嫜の命(おおせ)あらば慎(つつしみ)行(おこな)ひて背(そむく)べからず。万(よろず)のこと舅姑に問ふて其教に任(まかす)べし。嫜若し我を憎(にくみ)誹(そし)りたまふとも怒(いかり)恨(うらむ)ること勿れ。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この燃え立って取り巻くのは、愛(あい)か、憎(にくみ)か。
主は讚(ほ)むべき哉、無明(むみやう)の闇や、憎(にくみ)多き
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
主は讃(ほ)むべき哉(かな)、無明(むみよう)の闇や、憎(にくみ)多き
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
未来に愛や憎(にくみ)があるか
眼には憎(にくみ)の色を湛(たゝ)へて
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)