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愛憐
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あいれん
ふりがな文庫
“
愛憐
(
あいれん
)” の例文
慈悲そのものの
権化
(
ごんげ
)
たる観音さまは、
愛憐
(
あいれん
)
の御手で、私どもを抱きとってくださるから、私どもには、なんの不安も恐れもないのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
と鬼を
欺
(
あざむ
)
く文治もそゞろに
愛憐
(
あいれん
)
の涙に暮れて、お町を
抱
(
かゝ
)
えたまゝ暫く
立竦
(
たちすく
)
んで居りまする。お町は
漸
(
ようや
)
く気も落着いたと見えまして
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仕方あるにもかかわらず、こっちの好意をもって下げるのである。同類に対する
愛憐
(
あいれん
)
の念より生ずる真正の
御辞儀
(
おじぎ
)
である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さまでに世の中の事というものが分らない
生立
(
おいたち
)
が、
馴染
(
なじ
)
むに従って知れれば知れるほど、梓は
愛憐
(
あいれん
)
の情の深きを加えた。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たよりない幼いものに対する
愛憐
(
あいれん
)
の情の源泉がやはり本能的なものだということが、よくのみ込めるような気がする。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
彼の
聡明
(
そうめい
)
な物象の把握力、日本人特異の単純化と図案化。それに何という
愛憐
(
あいれん
)
の深い美の象徴の仕方でしょう。私はいつも彼の画を見て
惚々
(
ほれぼれ
)
とします。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
のみならず人間の
中
(
うち
)
なる自然も、人間の中なる人間に
愛憐
(
あいれん
)
を有するものにあらず。大震と猛火とは東京市民に
日比谷
(
ひびや
)
公園の池に遊べる鶴と
家鴨
(
あひる
)
とを
食
(
くら
)
はしめたり。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それよりも、部屋で泣伏しているおゆうの
可憐
(
いじら
)
しい姿に、心の
惹
(
ひ
)
かるる房吉は、やがてその
傍
(
そば
)
へ寄って、優しい
辞
(
ことば
)
をかけてやりたかった。
妊娠
(
みもち
)
だと云うことが、一層男の
愛憐
(
あいれん
)
を
唆
(
そそ
)
った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
半三郎はごく控えめな表現で、菊千代に対する同情と
愛憐
(
あいれん
)
の気持を語った。
菊千代抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こういううちに朝顔を
愛憐
(
あいれん
)
する心持が強く読者の心に響きます。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
(
愛憐
(
あいれん
)
の情に
堪
(
た
)
えざるごとく)あなた様のこのお変わりようは!
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
乃
(
すなわ
)
ち
鄭子
(
ていし
)
が
九尾
(
きゅうび
)
の
狐
(
きつね
)
に
逢
(
あ
)
いて
愛憐
(
あいれん
)
するが
如
(
ごと
)
くなるを致す。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼は
愛憐
(
あいれん
)
の情に胸がいっぱいになった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
文治は吉藏が懴悔話を聞いて、そゞろに
愛憐
(
あいれん
)
の情を起し、共に涙に暮れて居りましたが、二度目に来た剣術遣いと聞いて
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其証拠を又
眼
(
ま
)
のあたりに見た時、
彼
(
かれ
)
は
愛憐
(
あいれん
)
の情と気の毒の念に堪えなかつた。さうして自己を悪漢の如くに
呵責
(
かしやく
)
した。思ふ事は全く云ひそびれて仕舞つた。帰るとき
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
りとは
雖
(
いへど
)
も、
雁金
(
かりがね
)
の
可懷
(
なつかしき
)
を
射
(
い
)
ず、
牡鹿
(
さをしか
)
の
可哀
(
あはれ
)
を
刺
(
さ
)
さず。
兜
(
かぶと
)
は
愛憐
(
あいれん
)
を
籠
(
こ
)
め、
鎧
(
よろひ
)
は
情懷
(
じやうくわい
)
を
抱
(
いだ
)
く。
明星
(
みやうじやう
)
と、
太白星
(
ゆふつゞ
)
と、すなはち
其
(
そ
)
の
意氣
(
いき
)
を
照
(
て
)
らす
時
(
とき
)
、
何事
(
なにごと
)
ぞ、
徒
(
いたづら
)
に
銃聲
(
じうせい
)
あり。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
少くともかかる
葛藤
(
かっとう
)
を母に
惹起
(
じゃっき
)
させる
愛憐
(
あいれん
)
至苦のむす子が恨めて仕方がなかった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
成経 (
和睦
(
わぼく
)
と
愛憐
(
あいれん
)
の表情をもって)
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その証拠を又
眼
(
ま
)
のあたりに見た時、彼は
愛憐
(
あいれん
)
の情と気の毒の念に堪えなかった。そうして自己を悪漢の如くに
呵責
(
かしゃく
)
した。思う事は全く云いそびれてしまった。帰るとき
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“愛憐”の意味
《名詞》
愛 憐(あいれん)
人の不幸を、自分のことと思い比べて、これを救おうとする情深き心情。
(出典:Wiktionary)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
憐
漢検準1級
部首:⼼
16画
“愛”で始まる語句
愛
愛嬌
愛想
愛撫
愛宕
愛惜
愛宕山
愛相
愛憎
愛娘