すた)” の例文
新字:
レリーチェとツルビアの間のいとあらびいとすたれしこみちといふとも、これにくらぶれば、ゆるやかにして登り易き梯子はしごの如し 四九—五一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
要するにすたれて放擲られた都會の生活のかす殘骸ざんがい………雨と風とに腐蝕ふしよくしたくづと切ツぱしとが、なほしもさびしい小汚こぎたないかげとなツて散亂ちらばツてゐる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
漢字趣味はすたれて西歐趣味が此れに代つて勢力を得たが、何人なんびとも今だに「日本」と云ふ Originalité を求めやうとするものは無い。
新帰朝者日記 拾遺 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
わづか十二三年の違ひだが、操りが一年ごとにすたれて來るのがあり/\と眼に見える。いつも云ふやうだが……。
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「親分、ちよつと行つて見て下さい。あつしが下手人を擧げなきや、金釘流の手紙の手前、男がすたりますよ」
思ふてこゝに至れば、吾人は大道すたれて仁義ありてふ老子の言の、千古の眞理なるを認むると同時に、所謂る道徳なるものの價値の甚だ貧少なるに驚かざるを得ざる也。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ただ金庫の前に居眠りをして一生を過ごすあの蒼白い素封家の John‐John(良家の息子、やや馬鹿にしていふ言葉である。)かで、追ひ追ひに舊家はすたれ、地方の山持やまもち
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
貴方あなた例證れいしようきなすつたストア哲學者等てつがくしやら立派りつぱ人達ひとたちです。しかしながら彼等かれら學説がくせつすでに二千年以前ねんいぜんすたれてしまひました、もう一すゝまんのです、これからさきまた進歩しんぽすることい。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
(古例に依れば、この時議官足もておも立ちたる猶太の宿老の肩を踏むことありき。今はすたれたり。)事果つれば、議官の一列樂聲とともに階を下り、舍人とねり等を隨へて、美しき車に乘りうつれり。
そのうちもつとふるくからあつたのは圓塚まるづか、そのぎに出來できたのが前方後圓ぜんぽうこうえん、それから最後さいご流行りゆうこうしてたのは四角塚しかくづかでありますが、この前方後圓ぜんぽうこうえん四角しかくかたちはやがてすたれてしまつて、奈良朝時代ならちようじだいからは
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
天滿宮てんまんぐう別當筋べつたうすぢで、別當は僧體であつたから、血脈は續いてゐないが、第四十五世別當尊祐そんいうの代になつて、國の政治に改革が起り、封建がすたれたので、別當の名で支配してゐた天滿宮の領地二ヶ村半
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
舊きはすたまちちまた、また新しく榮ゆべき
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
すたれた洋館やうくわんの空氣の
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
すたれる水車がもと
佐藤春夫詩集 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
ローマの第一に許しゝことばしかしてそのやからの中にて最もすたれし語なるヴォイを始めに、我再び語りいづれば 一〇—一二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あのやうな面が將軍家のおん手に渡りて、これぞ伊豆の住人夜叉王が作と寶物帳にも記されて、百千年の後までも笑ひをのこさば、一生の名折れ、末代の恥辱、所詮夜叉王の名はすたつた。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「判らないよ、——だけど、これが欲しさに、立派な御用聞を手籠てごめにしたり、すたり者らしくない年増が、押掛嫁に來るところを見ると、餘程の品には違ひあるまい。斯うしようぢやないか、八」
拿破里ナポリの水は岸に近づきても猶藍いろなるに、こゝは漸く變じて汚れたる緑となれり。偶〻たま/\一島の傍を過ぐるに、その家々は或は直ちに水面みのもより起れる如く、或はすたれたる舟の上に立てる如し。
すたれゆくあはれをこめて
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
すたれたる園のみどりに
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「二十七の若い者が、少しばかり足が惡いにしても、旗本屋敷へ御宰に入り込むなどといふのは、外に目的めあてがなきや嘘だ。御宰などといふものは、年寄か何んかで、世の中のすたり者のすることだ」
すたれたる監獄かんごく
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)