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幽靈
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ゆうれい
以上を
概括して
其特質を
擧げると、
神佛は
尊いもの、
幽靈は
凄いもの、
化物は
可笑しなもの、
精靈は
寧ろ
美しいもの、
怪動物は
面白いものと
言ひ
得る。
なぜ
己れを
殺さぬ、
殺さぬか、
己れも三五
郎だ
唯死ぬものか、
幽靈になつても
取殺すぞ、
覺えて
居ろ
長吉めと
湯玉のやうな
涙をはら/\、はては
大聲にわつと
泣き
出す
二では
謠の「
善知鳥」など、三では「
阿漕」、「
鵜飼」など
其適例である。
幽靈は
概して
全體の
性質が
陰氣で、
凄いものである。
相貌なども
人間と
大差はない。
足を
取られて
幽靈ならぬ
身の
戸のすき
間より
出る
事もなるまじとて
今宵は
此處に
泊る
事となりぬ、
雨戸を
鎖す
音一しきり
賑はしく、
後には
透きもる
燈火のかげも
消えて
化物の
分類の
中、
第二の
幽靈は、
主として
人間の
靈魂であつて
之を
生靈死靈の二つに
分ける。
生きながら
魂が
形を
現はすのが
生靈で、
源氏物語葵の
卷の六
條御息所の
生靈の
如きは
即ち
夫である。