差迫さしせま)” の例文
いよいよ差迫さしせまった奇岩怪石の層層層、荒削りの絶壁がまたこれらに脈々と連なりそびえて、見る目も凄い急流となる。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
しかしながら金解禁きんかいきんごときは内外ないぐわい經濟上けいざいじやうから大問題だいもんだいである、しかるに年末ねんまつ段々だんだんちかづくのであるから、年末ねんまつ差迫さしせまつて斯樣かやう大問題だいもんだい決行けつかうすることは
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
最初先生の不可思議ふかしぎにわかの家出を聞いた時、私は直ぐ先生の終が差迫さしせまって来た事を知りました。それで先生のに接した時も、少しも驚きませんでした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
貴君あなたの親御より十万円恩借おんしゃくありて、今年返済の期限きたり、万一延滞そろ節は所有地家蔵いえくらを娘諸共もろとも、貴殿へ差上候さしあげそろと申す文面の証書をしたゝめて、残し置き、拙者せっしゃは返金に差迫さしせま
はたらき第一弟十兵衞國元に於て年貢ねんぐ未進みしん差迫さしせまり娘文を其方が世話を以て遊女に賣し身のしろ金四十二兩を持て歸國のせつ丑刻やつかね寅刻なゝついつはり出立させ置後より見えかくれにしのび行芝札の辻にて同人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
差迫さしせま大晦日おほみそかひかへて此處も大世話場の眞最中だつたのです。
実に翌日にも差迫さしせまる身の上に成りまして、何うしようと思っていた処、春見様が此方こっちにおいでなさるという事が知れましたから、願ったら出来ようかと思って姉と相談の上で出ましたが
借受惣内そうないは甚兵衞と改名かいめいし又里はおとよと改め少々せう/\小商こあきなひを始めしが素より爲馴しなれざる事にてかたいたあしつからし爲る事成す事損毛そんまうのみ多くはや此頃は必至ひつし差迫さしせまり今日にも難澁なんじふいたしける是ぞまことに天のにくしみを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はなし如何にも差迫さしせまりたる體に見せければ兩人とも流石さすが伯父をぢのことゆゑ兩親ふたおやとも此叔父をぢ殺害ころされしとは夢にも知らず特に母が病氣ときゝ姉妹はらから二人にて心一ぱい出來できほど合力がふりよくに及びければ強慾がうよく非道ひだうの長庵は能き事に思ひ毎日々々の樣に無心に行ける程にはては丁山小夜衣も持餘もてあましてことわりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)