工場こうぢやう)” の例文
都会の生活は自分の書斎と友達の住宅を初め到る処工場こうぢやうのやうに天井からぶら下つてゐる電気灯の光ばかりにしてしまつた。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
砲車はうしやは石を運ぶ台だと云つて作らせた。要するに此半年ばかりの間に、絃誦洋々げんしようやう/\の地が次第に喧噪けんさうと雑ざつたふとを常とする工場こうぢやうになつてゐたのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
船蟲ふなむしむらがつて往來わうらいけまはるのも、工場こうぢやう煙突えんとつけむりはるかにえるのも、洲崎すさきかよくるまおとがかたまつてひゞくのも、二日ふつかおき三日みつかきに思出おもひだしたやうに巡査じゆんさはひるのも
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
令息は仏語が出来るのであるけれど毎日早くから工場こうぢやうへ出てくので話す機会が無かつた。自分は夫人の親切と共にこの家の清潔なのと湯槽ゆぶねがあつて入浴の自由なのとをうれしいと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そのあひだ彼女かのぢよは、無産者むさんしや××同盟どうめい支部しぶはたらかたはら、あるデパート專屬せんぞく刺繍ししう工場こうぢやうかよつて生活せいくわつさゝへた。そのうち、三・一五事件じけんとして有名いうめいな、日本にほん×××ゐん全國的ぜんこくてき大檢擧だいけんきよおこなはれた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
はゞ良人をつとをはづかしむるやうなれど、そも/\御暇おいとまたまはりていへかへりしときむこさだまりしは職工しよくこうにて工場こうぢやうがよひするひときしとき勿躰もつたいなき比較くらべなれどれは殿との御地位ごちゐおもあはせて
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もつとも、さうさな「可能かのう」の工場こうぢやうの汽笛は
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ときいま、ひやく工場こうぢやう
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
工場こうぢやうへ勤めてゐる
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
自分が倫敦ロンドンで泊つたフインボロオグ・ロオド二十八番地のフイルプス夫人の家は、主人が有名な建築家で、夫人の連子つれこであるせん良人をつとの令息も同じく建築家として父の工場こうぢやうへ通つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
即ち工場こうぢやうの窓に居る農民を
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
其れで観たいと思ふ織物工場こうぢやうを案内して貰はずに仕舞しまつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)