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せうに
妻も
唯一人の
兄であれば、
能ふ
事なら
自ら
見舞もし、
久ぶりに
故山の
月をも
眺めたいとの
願望、
丁度小兒のこともあるので、
然らば
此機會にといふので
大雪です——が、
停車場前の
茶店では、まだ
小兒たちの、そんな
聲が
聞えて
居ました。
其の
時分は、
山の
根笹を
吹くやうに、
風もさら/\と
鳴りましたつけ。
も久八と附て夫婦の
寵愛淺らず養育しけるに一日々々と
智慧付に
隨ひ
他所の兒に
優りて
利發なるにより
末頼母敷小兒なりと
慈しみける中月立年暮て早くも七歳の春を
命ぜらるゝ儀有がたく
存じ奉つる
然しながら上意のおもふき
愚妻へ申聞かせ其上にて
御請仕つりたし
小兒養育の儀は
偏に女の手に
寄處にて私しの一存に
行屆申さずとて
急ぎ御前を
小兒丈けはどうか
日本帝國の
干城となる
有爲な
海軍々人にして
見たい、
夫につけても、
日本人の
子は
日本の
國土で
教育しなければ
從て
愛國心も
薄くなるとは
私の
深く
感ずる
所で
見付村役人に屆けなどする中一人の
旅僧鼠の
衣に
麻の
袈裟を身に
纒ひ
水晶の
珠數を
片手に
持藜の
杖を突て通りかゝりけるが此捨子を見て
杖を止め
頓て立寄りつゝ彼
小兒の
袖を
廣げ
腰なる矢立を