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こてい
ふりがな文庫
“
小体
(
こてい
)” の例文
旧字:
小體
木口のよい建物も、
小体
(
こてい
)
に落着きよく造られてあった。笹村は
栂
(
つが
)
のつるつるした縁の板敷きへ出て、心持よさそうに庭を眺めなどしていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小児
(
こども
)
は二人あるし、
家
(
うち
)
は大勢だし、
小体
(
こてい
)
に暮していて、別に女中っても居ないんですもの、お
守
(
も
)
りから何から、
皆
(
みんな
)
、お稲ちゃんがしたんだわ。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうか小金も有るやうな話で、
鴫沢隆三
(
しぎさわりゆうぞう
)
と申して、
直
(
ぢき
)
隣町
(
となりちよう
)
に居りまするが、
極
(
ごく
)
手堅く
小体
(
こてい
)
に
遣
(
や
)
つてをるのでございます
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
大黒屋という、
小体
(
こてい
)
ながら表通りに店を張って、数代叩き上げた内福な呉服屋、番頭の佐吉は、内外一切の采配を揮っている、五十年配の
白鼠
(
しろねずみ
)
だったのです。
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それでも幾らか
貯蓄
(
たくわえ
)
もあり、年金も貰えるので、
小体
(
こてい
)
に暮らしてゆけば別に困るという程でもありませんでしたが、これから無職で暮らして行こうとするには
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
向いは桃畑で、街燈の光が剪定棚の竹や、下の土を
森
(
しん
)
と照し出している。同じような生垣の
小体
(
こてい
)
な門が二つ並んでいる右の方を、朝子は開けた。高く鈴の音がした。
一本の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
おでんやは
鍋
(
なべ
)
の廻りに真黒に人が立ち、氷やは腰をかける席がないほどの
繁昌
(
はんじょう
)
だ。氷やといっても今のように
小体
(
こてい
)
な店ではない。なかなか広い店で、巾の広い
牀几
(
しょうぎ
)
が沢山並んでいた。
旧聞日本橋:17 牢屋の原
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
当てがわれただけの
食事
(
もの
)
では、ややともすれば不足がちなもの……
小体
(
こてい
)
の家ではないことだが、奉公人を使う家庭となると、台所のきまりがあって、奉公人の三、四人も使っておれば
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
しかし、印刷とか、用紙とか、販売とかの雑務となったら、それはいっさい僕におまかせなさい! 僕が裏の裏まで承知していますから! はじめは
小体
(
こてい
)
にやって、大きく仕上げるんですな。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
玄関の二畳、勝手につづく茶の間の六畳、狭い庭をひかえた奥の八畳という
小体
(
こてい
)
な住居だが、長火鉢、茶箪笥、鼠入らず、湯こぼしと、品よく、きちんとして、居なりで用が足りるようになっている。
虹の橋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
田舎の町で知っている女が浅草の方で化粧品屋を出している、その女に品物の仕入れ方を教わって、同じ店を
小体
(
こてい
)
に出して見ようという考えであった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小体
(
こてい
)
な暮しで共稼ぎ、
使歩行
(
つかいあるき
)
やら草取やらに雇われて参るのが、
稼
(
かせぎ
)
の
帰
(
かえり
)
と見えまして、
手甲脚絆
(
てっこうきゃはん
)
で、貴方、鎌を提げましたなり、ちょこちょこと寄りまして
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
茶汲
(
ちゃく
)
み女は三人、
小体
(
こてい
)
な暮しですが、
銅壺
(
どうこ
)
に往来の人間の顔が映ろうという綺麗事に客を呼んで
横網
(
よこあみ
)
に貸家が三軒と、
洒落
(
しゃれ
)
た住宅まで建てる勢いだったのです。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
田町
(
たまち
)
と
今戸
(
いまど
)
辺に五、六軒の家作があるのを頼りに、
小体
(
こてい
)
のしもた家暮らしをすることになりました。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
主
(
あるじ
)
夫婦を
併
(
あは
)
せて
焼亡
(
しようぼう
)
せし
鰐淵
(
わにぶち
)
が居宅は、さるほど貫一の手に
頼
(
よ
)
りてその跡に改築せられぬ、
有形
(
ありがた
)
よりは
小体
(
こてい
)
に、質素を旨としたれど
専
(
もつぱ
)
ら
旧
(
さき
)
の構造を
摸
(
うつ
)
して
差
(
たが
)
はざらんと
勉
(
つと
)
めしに似たり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
弥惣の家は
小体
(
こてい
)
ながら裕福そうで、紅屋の支配人と言っても恥しくないものでしたが、検屍が済んで土蔵から死骸を移したばかりなので、上を下への混雑です。
銭形平次捕物控:127 弥惣の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
切り
拓
(
ひら
)
いた地面に二
棟
(
むね
)
四軒の
小体
(
こてい
)
な家が、ようやく壁が乾きかかったばかりで、裏には
鉋屑
(
かんなくず
)
などが、雨に
濡
(
ぬ
)
れて石炭殻を敷いた
湿々
(
じめじめ
)
する地面に
粘
(
へば
)
り着いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小体
(
こてい
)
に暮らしてはいますけれど、ほかに
家作
(
かさく
)
なども持っていて、なかなか内福だということです。
異妖編
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もうその時分は、大旦那がお亡くなんなすったあとで、
御新姐
(
ごしんぞ
)
さんと今のお嬢さんとお二人、
小体
(
こてい
)
に絵草紙屋をしておいでなすった。そこでもお前火災にお逢いなすったんだろうじゃないか。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お鳥は花屋敷前の暗い木立ちのなかを脱けて、
露店
(
ほしみせ
)
の出ている通りを突っ切ると、やがて浅黄色の旗の出ている、板塀囲いの
小体
(
こてい
)
な家の前まで来てお庄を振り
顧
(
かえ
)
った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
向柳原の水本
賀奈女
(
かなめ
)
の家というのは、町の懐ろの中へしまい込んだような深い路地の奥で、
小体
(
こてい
)
ながら裕福に暮していたらしく、
磨
(
みが
)
き抜いた格子にも、一つ一つの調度にも
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
町の中心へ来て、彼は小懐かしそうに
四辺
(
あたり
)
を見廻した。そして
小体
(
こてい
)
なある旅館の前に立ち止まると
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
御家人
(
ごけにん
)
安旗本などを相手に金を廻し、
小体
(
こてい
)
ながらなかなか裕福に暮しておりました。
銭形平次捕物控:039 赤い痣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
つまり好いパトロンがついていない限り、商売は
小体
(
こてい
)
に基礎工事から始めるよりほかなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
今戸
(
いまど
)
で
小体
(
こてい
)
な小間物屋をしていますよ。妹とたった二人で」
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
錦糸堀でも、裏に
小体
(
こてい
)
な家を一軒、その当座時々
躰
(
からだ
)
を休めに来る銀子の芸者姿が、近所に目立たないようにと都合してあるのだったが、今はそれも妹たちが占領していた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
家は松の家と裏の路次づたいに往来のできる、今まで置き家であった
小体
(
こてい
)
な二階屋であった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“小体”の意味
《形容動詞》
小体(こてい)
つつましいさま。こじんまりとしたさま。
(出典:Wiktionary)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父