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妻戸
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つまど
ふりがな文庫
“
妻戸
(
つまど
)” の例文
やゝありて『誰かある』と呼ぶ聲す、
那方
(
あなた
)
なる廊下の
妻戸
(
つまど
)
を
開
(
あ
)
けて徐ろに出で來りたる立烏帽子に布衣着たる侍は齋藤瀧口なり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
清盛は、さっきから、
妻戸
(
つまど
)
の口で、両足を、縁さきへほうり出し、上半身だけ室内に入れて、仰向けに寝ころんでいた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東側の
妻戸
(
つまど
)
の外に源氏を立たせて、小君自身は縁を一回りしてから、南の
隅
(
すみ
)
の座敷の外から元気よくたたいて戸を上げさせて中へはいった。女房が
源氏物語:03 空蝉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
かの音はこの
妻戸
(
つまど
)
の
後
(
うしろ
)
から出るようである。戸の下は二寸ほど
空
(
す
)
いていたがそこには何も見えなかった。
変な音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
押
(
お
)
す
手
(
て
)
にいよいよ
動悸
(
どうき
)
たかく、
噛
(
か
)
みしめる
袖
(
そで
)
に
涙
(
なみだ
)
こぼれて、
令孃
(
ひめ
)
は
暫時
(
しばらく
)
うち
伏
(
ふ
)
して
泣
(
な
)
きけるが、
吹入
(
ふきい
)
る
夜風
(
よかぜ
)
たが
魂
(
たましひ
)
か、あくがるヽ
心
(
こヽろ
)
此處
(
こヽ
)
に
堪
(
たへ
)
がたく、
靜
(
しづ
)
かに
立
(
た
)
つて
妻戸
(
つまど
)
を
押
(
お
)
せば
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
破れかかった
妻戸
(
つまど
)
のかげに、その夕べも、女は昼間から空にほのかにかかっていた
繊
(
ほそ
)
い月をぼんやり眺めているうちに、いつか
暗
(
やみ
)
にまぎれながら殆どあるかないかに臥せっていた。
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
妻戸
(
つまど
)
と壁とで仕切られたその部屋の中は、大輪の花のような
嵩張
(
かさば
)
った衣裳を着けている上﨟の体を
容
(
い
)
れるために十分なゆとりが取ってあって、茶の間程の面積に一杯に畳が敷き詰めてあるので
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人は
妻戸
(
つまど
)
口から裏へ出た。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
部屋のさかいは、板仕切りであり、入口には、古布を
帳
(
とばり
)
とし、
妻戸
(
つまど
)
の代わりに、むしろなど、垂れてある。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの音は此
妻戸
(
つまど
)
の
後
(
うしろ
)
から出る樣である。戸の下は二寸程
空
(
す
)
いてゐたが其處には何も見えなかつた。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
折柄
(
をりから
)
杉
(
すぎ
)
の
妻戸
(
つまど
)
を徐ろに押し
開
(
あ
)
くる音す、瀧口
首
(
かうべ
)
を擧げ、
燈
(
ともしび
)
差
(
さ
)
し向けて何者と打見やれば、足助二郎重景なり。
端
(
はし
)
なくは進まず、
首
(
かうべ
)
を垂れて
萎
(
しを
)
れ出でたる有樣は仔細ありげなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
世
(
よ
)
に
引
(
ひ
)
かるヽ
心
(
こヽろ
)
も
斷
(
た
)
ちたきものと、
决心
(
けつしん
)
此處
(
こヽ
)
に
成
(
な
)
りし
今宵
(
こよひ
)
、
切
(
せ
)
めては
妻戸
(
つまど
)
ごしのお
聲
(
こゑ
)
きヽたく、
見
(
み
)
とがめられん
罪
(
つみ
)
も
忘
(
わす
)
れて
此處
(
こヽ
)
に
斯
(
か
)
く
忍
(
しの
)
ぶ
身
(
み
)
と
袖
(
そで
)
にすがりて
敏
(
さとし
)
なげヽば、これを
拂
(
はろ
)
ふ
勇氣
(
ゆうき
)
今
(
いま
)
は
無
(
な
)
く
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
決して、客らしい扱いではないが、召使たちから、一部の建物のうちに、まず上がることをゆるされ、
草鞋
(
わらじ
)
など解きかけていると、中庭を隔てたあなたの
妻戸
(
つまど
)
の蔭で
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
閉
(
し
)
めよ。……誰ぞ、そこの
妻戸
(
つまど
)
を閉めぬか」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妻
常用漢字
小5
部首:⼥
8画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
“妻”で始まる語句
妻
妻子
妻君
妻籠
妻妾
妻室
妻楊枝
妻覓
妻鳥
妻恋坂