大事でえじ)” の例文
權「お前辛抱しなよ、お女郎買におっぱまってはいかねえよ、国と違ってお女郎が方々にるから、随分身体を大事でえじにしねば成んねえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ウッカリ顎叩くと飛んでも無え間違まちげえになるぞ、後で、吠えづらかかねエ様にしろ、大事でえじに使やア一生ある生命だア、勿体もってえなくするな
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
なぜって、いいかい、何か事の起った場合の用心に、当分は、己たちはこの子を黄金みてえに大事でえじにしておくんだからな。
かきへびがあがるやうぢやあめでもまたらなけりやえゝが、百姓ひやくしやうにや大事でえじところなんだからまあ、ちつとつゞけさせてえもんだが」そばからまた一人ひとり怪我人けがにんくちへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「お藤、すぐけえってくる。それまでこの壺を、大事でえじにあずかってもれえてえ。頼むぞ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あの小僧を大事でえじにしてくれとも何とも……親方に頼まなかったんけえ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
此の大事でえじな人間の指い切るの、足い切るのと云って人を不具かたわにするような御遺言状おかきもののこしたという御先祖さまが、如何いかにも馬鹿気た訳だ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そんな処をあの医者が知っているかい? ——そして己はラムで命を繋いでいたんだ、ほんとうによ。己にゃあ、ラムは何よりの好物だ、大事でえじな女房だ。
なあおい、伊賀のあばれん坊ッ! おれの手にかかって生きのいい血をふくまで、後生だから生きていてくれよ。おめえの命は、この濡れ燕があずかってるんだぜ。それまでア大事でえじなからだだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
先刻さつきからてんだが道具だうぐ大事でえじにすつとえてかまなんぞでもひかつてつことなあ、それにくかう三日月姿みかづきなりらせたもんだな、かたぽどをつけなくつちやかうは出來できねえな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此処こゝ打箝ぶちはまったらどうする…何卒どうぞ大事でえじに行って来てお呉んなせえましよ…なに笑うだ、名残い惜いから声かけるになんだ馬鹿野郎、情合じょうええのねえ奴だ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
骸骨スケリトン島ってその島を皆は申しております。もとは海賊どもの大事でえじな処でして、わっしらの船にいた一人の水夫が奴らのつけていた名前をみんな知ってました。
醤油しやうゆ打棄うつちやらねえで大事でえじにしてけ」勘次かんじ小皿こざら數滴すうてきをしんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
するという心根が如何にも情ねえ、よこせたって何うして此の金は遣られねえ、世界せけえの人の為めに遣う大事でえじな金だ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちょっくりお顔を見てえと思ってお暇乞いとまごえめえりました、明日あした立つだッて、なんだかあっけなえこったって、わしの嫁なんざアえてばいいるだ、随分大事でえじになえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それからわし此処こゝ家来けれえになっただね、して見るとお前様めえさま、私のためには大事でえじなお人で、私は家来けらいでござえますから、永らく居る内にはおたげえに心安立こゝろやすだてが出て来るだ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どんなつれえ事をしてもうちの為めに働きやすから、我慢して居ておくんなさいよ、うち大事でえじでがんすよ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
永旅だから我儘してお母様に心配しんぺえかけてはなりませんよ、大事でえじに行っておいでなさえましよ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
金はいが書附が大事でえじだ、棚へ上げて来たから取って来いよ、へえッてんでおめえ往って、これ/\というと大黒屋でえこくやでは飛んでもねえ事をいう、大黒屋の名前なめえに障るから、そんな物が有れば取って置く
角「それでは五十両で貴方あんた大事でえじな物を買ってきやすべえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長「お大事でえじになさいまし……左様なら」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)