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夙
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とう
ふりがな文庫
“
夙
(
とう
)” の例文
私
(
わたくし
)
が
三浦
(
みうら
)
へ
嫁
(
とつ
)
いだ
頃
(
ころ
)
は五十
歳
(
さい
)
位
(
くらい
)
でもあったでしょうが、
夙
(
とう
)
に
女房
(
にょうぼう
)
に
先立
(
さきだ
)
たれ、
独身
(
どくしん
)
で
立
(
た
)
ち
働
(
はたら
)
いている、
至
(
いた
)
って
忠実
(
ちゅうじつ
)
な
親爺
(
おやじ
)
さんでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そうこうしているうちに汽車に乗るはずの時刻は
夙
(
とう
)
に過ぎた。絣姿の弟たちはステーションでさぞ待ちかねて不安でもいるのだろう。私は
突堤
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
何れの信仰でも
雑多
(
ざった
)
な信者はある。世界の信者が其信仰を
遺憾
(
いかん
)
なく実現したら、世界は
夙
(
とう
)
に無事に苦んで居る
筈
(
はず
)
だ。天理教徒にも色々ある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
愛は与える本能をいうのだと主張する人は、恐らく私のこの揚言を聞いて
哂
(
わら
)
い出すだろう。お前のいうことは
夙
(
とう
)
の昔に私が言い張ったところだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
もう
夙
(
とう
)
から寝たくてならないのだが、ポケットには酒瓶があるし、小屋の若者達にヴォトカをねだられるのも厭だった。韃靼人は病気で元気がなかった。
追放されて
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
その辺の心掛けは、
夙
(
とう
)
から
訓
(
おし
)
えて置いたつもりゆえ、格別、案じもせねど、また、何かと、このようなじじいでも、頼りになるときがあらばたずねて来るがよい
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「もう
夙
(
とう
)
から氣がついていたんですが、あなたはどうもまるで熱に浮かされてらっしゃるようだ」
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
私は
夙
(
とう
)
から知つてゐる。彼は南京の放送局からニユースを聴かうとしてゐるのだ。
北支物情
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
其樣
(
そん
)
な
事
(
こと
)
は、もう
夙
(
とう
)
に
知
(
し
)
ってゐる。
婚禮
(
こんれい
)
の
事
(
こと
)
をば
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
うてぢゃ? さ、それを。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「有難うございます。病気はもう
夙
(
とう
)
から好いんでございますけれども——」
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「要らん事を言ひなさるな、
俺
(
わし
)
には
夙
(
とう
)
から妾宅はあるぢやないか。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
旅空でこんな歌を読んでいると、
夙
(
とう
)
から旅にいるような気持ちだ。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
嵐はあらゆる追憶を殘して
夙
(
とう
)
の
大往昔
(
おほむかし
)
に死んでしまつたらしい
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
そして震災のときはもう
夙
(
とう
)
にそんなものなくなっていて、倉が立っていました。西村の祖母は安政の大地震を知っているのよ。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
現界
(
げんかい
)
のお
宮
(
みや
)
もよくできて
居
(
お
)
るが、こちらのお
宮
(
みや
)
は一
層
(
そう
)
手
(
て
)
が
込
(
こ
)
んで
居
(
お
)
るぞ。もう
夙
(
とう
)
に
出来上
(
できあが
)
っているから、
入
(
はい
)
る
前
(
まえ
)
に一
度
(
ど
)
そなたを
案内
(
あんない
)
して
置
(
お
)
くと
致
(
いた
)
そうか……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
原著者のツルゲーネフは
夙
(
とう
)
に死んだ。然しルヂンは生きて居る。ナタリーも生きて居る。アレキサンドラも、ビカソーフも、バンタレフスキーもワルインツオフも生きて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「またそんなこと仰しゃったって僕は驚きはしませんよ」と、彼は暫く沈默してからやり返した、「僕はもうそんなことには、あいにくと
夙
(
とう
)
の昔から平氣になってるんですからね。 ...
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
松飾などは
夙
(
とう
)
に
取退
(
とりの
)
けられて、人々は沈滞した二月を遊び疲れた後の重い心で
懶
(
ものう
)
げに迎えようとしていたが、それでも未だ都大路には正月気分の抜け切らない人達が、折柄の小春
日和
(
びより
)
に誘われて
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
お前は神人合一の教理が
夙
(
とう
)
の昔から叫ばれているのを知らないのか。神は人間と対立しているようなものではない。実に人間の
衷
(
うち
)
にあって働くべきものだ。人間は又神の衷にあって働くべきものだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
みんなは、
夙
(
とう
)
から考えてた計画が計らず実現したというような気の入れかたで、相談はじめた。
ズラかった信吉
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
都では
晴
(
はれ
)
の春着も
夙
(
とう
)
に箪笥の中に入って、歌留多会の
手疵
(
てきず
)
も
痕
(
あと
)
になり、お
座敷
(
ざしき
)
つゞきのあとに
大妓
(
だいぎ
)
小妓のぐったりとして
欠伸
(
あくび
)
を
噛
(
か
)
む一月末が、村の
師走
(
しわす
)
の
煤掃
(
すすは
)
き、つゞいて
餅搗
(
もちつ
)
きだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
若
(
も
)
しもあの
子供
(
こども
)
がなかったら、
私
(
わたくし
)
などは
夙
(
とう
)
の
昔
(
むかし
)
に……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
内務省なんかでも、この頃は実は実にうまくクビにしますよ。もとみたいに一どきにドッとは決してやらないんです。いつの間にかいない。おやと気がついたときはもう
夙
(
とう
)
に引導を
舗道
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
金箔はもう
夙
(
とう
)
に日本画の世界から消えて居ります。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
“夙”の解説
夙(しゅく、夙の者、宿の者)は、中世から近世にかけて近畿地方に多く住んでいた賎民。中世の非人身分が分解する際に生じ、被差別部落の起源の多くであったかわたよりも下位でありながら、その差別はそれほど強烈ではなかったといわれる。
(出典:Wikipedia)
夙
漢検準1級
部首:⼣
6画
“夙”を含む語句
夙夜
夙慧
夙川
夙縁
夙昔
夙人
夙起
夙志
夙懟
夙才
馬夙彩
臣夙夜
夙約
夙村
夙望
夙少
夙卒
夙分