商人あきびと)” の例文
世のありさま、三四年このかた金融の逼迫ひつぱくより、種々さま/″\の転変を見しが、別して其日かせぎの商人あきびとの上には軽からぬ不幸を生ぜしも多かり。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
その敵はいづれも基督教徒クリスティアーノにてしかもその一人ひとりだにアークリに勝たんとてゆきまたはソルダーノの地に商人あきびとたりしはなし
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
船に来る商人あきびとの荷をベツカの君と見歩きさふらひしが、鈴木に掛け合はさせ、ぬひ入れの壁掛二枚を買ひ申しさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その他弟人おとびとがおとうと、或いはおとと、妹人いもびとがいもうと或いはいもと、商人あきびとがあきうど或いはあきんど、隼人はやひとがはやととなった様に、えびとがえとまたはえっととなり
「エタ」名義考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「お待ちください。それは商人あきびとのすること。商人の功かは存ぜぬが、軍功ではありますまい」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひととせ下谷したやのほとりに仮初かりそめ家居いへゐして、商人あきびとといふ名も恥かしき、ただいさゝかの物とりならべて朝夕あさゆふのたつきとせし頃、軒端のきばひさしあれたれども、月さすたよりとなるにはあらで
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二郎の姉が家は、二一三石榴市つばいちといふ所に、田辺たなべ金忠かねただといふ商人あきびとなりける。
かの商人あきびと立寄たちより見れば、最前さいぜん焼飯やきめしうりたる農夫なりしとぞ。
阿蘭陀おらんだ商人あきびとたちは自らの生業なりはひのためにこれをのこしき
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
荷を負ひて旅商人あきびとの朝立ちしわが隣室も埋むる嵐気
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
商人あきびとらよ、晩餐ばんさんを振舞へるは君達なれど
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あきなふて毎年まいねん江戸へいづ商人あきびと井筒屋ゐづつや茂兵衞金屋かなや利兵衞と云者あり平生へいぜい兄弟の如く親類しんるゐよりも中睦なかむつましかりしが兩人のつまとも此頃懷姙くわいにんなし居たり或時あるとき江戸より歸る道々みち/\はなしに利兵衞は茂兵衞にむかわたし今年ことし四十になり始めて子と云者いふもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
商人あきびとも、物乞ふ等も
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
はては私のをも乞はれ、与へさふらふに、よき商人あきびとなりと云ふ筋を書けよと重ねて乞はれさふらひしかば
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
かの国にしばしばかよふ商人あきびとの聞き伝へてかたりけるなりき。
かの商人あきびと立寄たちより見れば、最前さいぜん焼飯やきめしうりたる農夫なりしとぞ。
慳貪けんどんなる商人あきびと方形はうけいひら大口おほぐちなり
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
年老いし彼は商人あきびと
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
人の顔もやや薄きと濃きといづれも代赭たいしやにて色少し変へあり申しさふらふ。まことにこの商人あきびとども、石炭積みにきたれる人ども、いづれも皆代赭たいしやならぬ色もなしなどと独り思ひさふらひき。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
商人あきびとらの催せる饗宴きやうえん
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
年老いしこの商人あきびと
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
商人あきびとも我等を責めず
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
若き商人あきびと
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)