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其手
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そのて
眼は
小さく、
鼻は
赤く、
肩幅廣く、
脊高く、
手足が
圖※けて
大きい、
其手で
捉まへられやうものなら
呼吸も
止まりさうな。
『
眞箇だ、
可厭になつちまう、さうだとも、
全くさ!』『
僕の
云つた
通りにお
爲よ、
卑怯だね!』
終に
愛ちやんは
再び
其手を
伸ばしてモ一
度空を
掴みました。
海はとゞろきわたりて、若き
牧神の
如く吹く風は、
其手に
押ゆる
衣を
剥ぎて、路上に若き女を
辱めんとす。あたゝかく、うつら/\と暮れて行く
Basque の里の夕まぐれ。
取次ぐ
母が
詞も
待たず
儀右衞門冷笑つて
聞かんともせずさりとは
口賢くさま/″\の
事がいへたものかな
父親に
薫陶れては
其筈の
事ながらもう
其手に
乘りはせぬぞよ
餘計な
口に
風引かさんより
早く
歸宅くさるゝが
宜さゝうなもの
誠と
思ひて
聞くものは
頭へ
其手を
上せることは
迚も
出來さうもないので、
愛ちやんは
頭を
下げて
手に
達かせやうとして、
今度は
自分の
首が
蛇のやうに
容易に
遠くの
方へ
曲り
廻るのを
見て
大變喜びました。