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仰言
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おっしゃ
ふりがな文庫
“
仰言
(
おっしゃ
)” の例文
……けれども
貴下
(
あなた
)
は、そんな事は
仰言
(
おっしゃ
)
らぬでしょう。……ああ……本当にして下さる。信じて下さる、……ありがとう。ありがとう。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
妾にも解らないのでございますよ。ある日父上にはこう
仰言
(
おっしゃ
)
って、無理矢理に一家を引きまとめてこの土地へ参ったまででございます。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ああ、虹とは……。貴方は何を
仰言
(
おっしゃ
)
るのです」伸子は突然弾ね上げたように身体を起して、涙で
霑
(
うる
)
んだ美しい眼を法水に向けた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
貴方はせっかく会って下さって何も
仰言
(
おっしゃ
)
らなかったのね、妾も何も言わなかったけれど。だって何も言うことがないのですもの。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
……あ!
何故
(
なぜ
)
と
仰言
(
おっしゃ
)
つたの? だつて、いち番手近かなモデルぢやありませんこと? それに私は自分のからだが憎らしかつたのです。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
誰でも良くやる指先で、こんな字ですと畳の上などに書きますと、後を手で消す真似をしておかないといかんと
仰言
(
おっしゃ
)
るのです。
泉鏡花先生のこと
(新字新仮名)
/
小村雪岱
(著)
『何にそう見えているか』と
仰言
(
おっしゃ
)
るから、『往生要集の中に見えてございます』と申すと、聖が「わしも往生要集の中は見たぞ」と仰言る。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仰言
(
おっしゃ
)
いましたわね。品が良いとか、悪いとか、御自分は何ですか。あなたは歌川さんのオメカケとできた人じゃありませんか。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「ええ、でも木曾さんにまでそう
仰言
(
おっしゃ
)
られると、なんだかこう、身動きも出来ないものを背負わされたような気がしますわ」
宇宙爆撃
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
お父様お母様には、到底私から書く言葉がありませんから、どうぞこの手紙を御覧に入れて、貴方からくれぐれもお詫びを、
仰言
(
おっしゃ
)
って下さい。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
もちゃげるわけじゃありません、こりゃア、どうも凄いお
推察
(
みこみ
)
、恐れ入りました。……
仰言
(
おっしゃ
)
る通り、如何にもそうでなくっちゃ筋が通らねえ。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
『まさか、あなたが、国際裸体婦人同盟員である一方、その、命知らずな「
黄色い嘴
(
ベッコ・ジャロ
)
」の論説部員なのだと、
仰言
(
おっしゃ
)
るのではないでしょうね。』
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
それにあたしにお嫁入の話なんか
仰言
(
おっしゃ
)
って、あたしが冗談にしてしまうことだって、これでたいていのことじゃないことよ。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
少女「それからねえ先生、あんまり
真似
(
まね
)
をするからお兄さんが
誰
(
だれ
)
だって
仰言
(
おっしゃ
)
ると、向うでも誰だって言いましてよ」
春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
お父さんは何にも
仰言
(
おっしゃ
)
らないし、お母さんはあの通り何にも分らないんでしょう。それにお医者様はいつもいいいいと云ったきりで帰ってゆかれるのよ。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
頂いて来て呉れろと
仰言
(
おっしゃ
)
いますので…………ほんとうに御無理なお願いで済みませんが…………坊ちゃまのお母さまもお願いして来るように仰言いますので…………
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
仰言
(
おっしゃ
)
って下さい。傷は重うございます。これが最期になるかも知れません。本当のことをひと言だけ聞かせて下さいまし。あなたは真沙の良人でございましょう——」
柘榴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どうぞ、ゆめにでもお現れになりお健やかなお言葉を
仰言
(
おっしゃ
)
ってくださいませ、それでなかったら筒井はどう考えていいかさえ、もう、分らなくなっているのでございます。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お師匠さんの
仰言
(
おっしゃ
)
る通り、じっと
怺
(
こら
)
えて、いざと言う場合まで、自分の力を養って行く他はないのだ。気を
嵩
(
たか
)
ぶらせてはならぬ。女の子のように、めそめそしてはならぬ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
何卒おついでの節よろしく、また何かいゝものが有りましたら頂かして下さいますよう
仰言
(
おっしゃ
)
つて下さいまし、こちらもまだなか/\あつうございます 東京もおあついでせうね。——
消息
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
真紀 此の間お師匠さんにお目にかかったら、何て
仰言
(
おっしゃ
)
ったと思う? あなた。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
斯う
仰言
(
おっしゃ
)
って、さっと御座をお立ち遊ばした時のあの御姿の神々しさ、私などはほんとうに有難涙にくれたものでございました。多くの方々もあっと云って感服致したものでございます。
殺された天一坊
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
「あの、署の方と
仰言
(
おっしゃ
)
いますと——刑事さんで、まあ、このお暑いのに——」
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
二度も
罹災
(
りさい
)
する前に、もっと早く故郷へ行っておればよかったのにと
仰言
(
おっしゃ
)
るお方もあるかも知れないが、私は、どうも、二十代に於いて肉親たちのつらよごしの行為をさまざまして来たので
庭
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
死ねと
仰言
(
おっしゃ
)
られるのでしょうか、かあいそうなうちの人、——尾羽うち枯したあわれな姿で帰って来て、ひと言、駄目であった、と、お
館
(
やかた
)
さまにご報告申しあげ、
辿
(
たど
)
りついた我が家にうち倒れ
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「あはははは、そこまで
仰言
(
おっしゃ
)
っては——両方でござる。両方でござる」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「いいえ奥様、貴女は夜もおちおち眠れないと
仰言
(
おっしゃ
)
いましたが、それは然しただ眠れないだけのことでしょう。然し私共は一日一日が生きて行けるか、行けないかのことなんです。命がけのことなんです。」
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「先生。そんなことは、もう
仰言
(
おっしゃ
)
らずにいて下さい」
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
“貴族だ”と御自分で
仰言
(
おっしゃ
)
るように上品な
風采
(
ふうさい
)
。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
と
仰言
(
おっしゃ
)
るのは、暮し方の心掛けですか。
女性の生活態度
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
母親 とんだことを
仰言
(
おっしゃ
)
います。
新学期行進曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
黄から
紅
(
くれない
)
に——そうすると、それが
黄橙色
(
オレンジ
)
になるではございませんか。
黄橙色
(
オレンジ
)
——ああ、あのブラッド
洋橙
(
オレンジ
)
のことを
仰言
(
おっしゃ
)
るのでしょう。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「だって、お互いの気持ちさえ光風霽月ならベッドが並んでたってかまわないじゃないこと? そう
仰言
(
おっしゃ
)
ったじゃないの
昨日
(
きのう
)
」
謎の女
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「ホホホ。つまりエチオピアへお出でになりたいからダイナマイトをくれって
仰言
(
おっしゃ
)
るんですね。お
易
(
やす
)
い御用ですわ。ホホホ」
女坑主
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ありがとう……、そういって下さるとやっと私にも自信がついて来ましたよ、
仰言
(
おっしゃ
)
る通り議論よりかモノですからね……」
火星の魔術師
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「もう殺生だけはやめて下さいよ。この子が生れたら、おやめになると、あれほど固く
仰言
(
おっしゃ
)
ったのに、それにまた——」
洋灯
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「源内先生、あなたはひどく見透したようなことを
仰言
(
おっしゃ
)
いますが、今も言ったように、四人がちゃんと里春の声を……」
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今までだって何にも隠さなかったでしょう。だからききたいことがあったら何でも私にそう
仰言
(
おっしゃ
)
い、ね。
一
(
ひと
)
つのことを種々な人から聞くのはいけないよ。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「それを
仰言
(
おっしゃ
)
っていただけませんか。案外そんな漠然たるカンがものの急所を射ぬいていることが多いものです」
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「故上人は念仏は様なきを様とす。唯ひたすら仏の言葉を信じて念仏をすれば往生をするのだ。と
仰言
(
おっしゃ
)
って全く三心のことなどを云われたことはありません」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「まあ汚い
児
(
こ
)
だねえ」と
仰言
(
おっしゃ
)
って、母様はあなたの生傷のついてる
真黒
(
まっくろ
)
な膝を洗っておやりになった。そして
綺麗
(
きれい
)
になったところで、いつでもこう言いなさる。
少年・春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
頂いて来て呉れろと
仰言
(
おっしゃ
)
いますので…………ほんたうに御無理なお願ひで済みませんが…………坊ちやまのお母さまもお願ひして来るように仰言いますので…………
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
もし強いて脱ぐと
仰言
(
おっしゃ
)
るんでしたら、私とこの名前は知りませんが、私の同室者は、きっと、私達の大嫌いな徳律の命令に服従して、
寝台車掌
(
コントロルウ
)
を呼んで、あなたを
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「と、申しますと何者かが、あの品物を隠して持っている——と、このように
仰言
(
おっしゃ
)
いますので?」
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
阿母さまもそう
仰言
(
おっしゃ
)
ってだけえ、結婚式は、どねえにでも派手にしろ! その分だけは、阿母さまも用意していられたけえ、お
前
(
めえ
)
の肩身の狭くなえように心置きなくやれ
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
さうして何卒自分を許して明日から学校に出てくれ、たのむと先生は手をつかないばかりに
仰言
(
おっしゃ
)
ひますので私も出る気になりましたけれどもう学校は決して楽しい処ではなくなりました。
嘘言と云ふことに就いての追想
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「こんな場合に、身の上調べは恐れ入りますね。お前さんも、立派なお武家——
一旦
(
いったん
)
、あっしを、見逃そうと
仰言
(
おっしゃ
)
った以上は、もう
綺麗
(
きれい
)
さっぱりといざこざなしに、放してやっておくんなさい」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
どなたがなんと
仰言
(
おっしゃ
)
ったとて決して決して夢ではございませぬ。
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「みんなその方々を、一てえどうしようと
仰言
(
おっしゃ
)
るんで?」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「失礼だが、その——何と
仰言
(
おっしゃ
)
られる名前でしたかな」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“仰”で始まる語句
仰
仰向
仰有
仰山
仰天
仰臥
仰々
仰付
仰反
仰飲