トップ
>
二刻
>
ふたとき
ふりがな文庫
“
二刻
(
ふたとき
)” の例文
朝の
二刻
(
ふたとき
)
ばかりで、すッかり肩の皮が
剥
(
む
)
け、ヒリヒリと熱をもって来た。かれは、汗をふくようにみせて、始終涙をこすっていた。
醤油仏
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
根岸から品川まで眞つ直ぐに行つても四里以上あるから、
二刻
(
ふたとき
)
で
辿
(
たど
)
り着くのは一杯々々、人間の足で目白臺へ廻れる筈はない
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから
二刻
(
ふたとき
)
あまりを過ぎても亭主の藤吉は帰らないので、お徳はまた新らしい不安を感じ出した。そのころの二刻といえば今の四時間である。
半七捕物帳:44 むらさき鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「何しろこの
暑気
(
しょき
)
。それに、風の通さぬ張物の中。はっきりしたことは申しかねるが、まず、ざっと今から
二刻
(
ふたとき
)
から
二刻半
(
ふたときはん
)
ぐらいまでの間……」
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
二刻
(
ふたとき
)
ほどの前であり、爾来説きつづけているのであったが、どうしたものか冬次郎はそれを
諾
(
うべな
)
おうとはしないのであった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
「
二刻
(
ふたとき
)
ばかりまえに息をひきとって、もう死骸の始末もしてしまった、身寄の者でもわかったのか」
赤ひげ診療譚:02 駈込み訴え
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし、おせっかいであろうと、やっかいであろうと、
二刻
(
ふたとき
)
近くもかかっていまだに捕えることができないとならば、いかほど皮肉をいわれたとてもしかたのないことです。
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「じゃ、お前はここで、待っていておくれ。
一刻
(
いっとき
)
か
二刻
(
ふたとき
)
で、皆帰ってくるからね。」
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すこし話したりまた話が途絶えたりしているひまに、時間というものはまるで駈けてはすぎる、
一刻
(
ひととき
)
や
二刻
(
ふたとき
)
のちがいではない、高い日はあっても、それはすぐ秋のようにすげなく落ちた。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
遊びにおいでなさい、ここからホンの一足ですから。一足とは言いながら、それは
平常
(
ふだん
)
の日のことで、雪の積った時には、その一足が、常の人で
二刻
(
ふたとき
)
かかりますよ。おいでなさい、焚火を
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
火桶の中には、
蛍
(
ほたる
)
ほどな火の気しかなかった。だが、飢えも寒さも第二のものだった。彼は手枕のまま
二刻
(
ふたとき
)
あまり、
昏々
(
こんこん
)
と眠っていた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
拙者を切らばままごと狂女、お浦殺すでござりましょう! ……
二刻
(
ふたとき
)
経ってわれ帰らずば、勘助ともどもお浦を殺せと、わたくし伴作に申しつけました。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「わかったのは、つい、
二刻
(
ふたとき
)
ほど前のことでございます。……ちょうど通りすがりに、
露路口
(
ろじぐち
)
で騒いでいますから、あっしも、ちょっと寄ってのぞいてまいりました」
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
八五郎が夢中になって飛び出して、それからざっと
二刻
(
ふたとき
)
近く、明神下は、閑寂に春の陽は
長
(
た
)
けます。
銭形平次捕物控:376 橋の上の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
市兵衛が去ってから
二刻
(
ふたとき
)
以上になるだろう、窓の障子にさしている陽もうすづき、傾いていた。
あだこ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
巳之助が正気にかえったのは、それから
二刻
(
ふたとき
)
ほどの後で、彼は何者にか
真向
(
まっこう
)
を撃たれて昏倒したのである。ようよう這い起きて、闇のなかを探りまわると、提灯はそこに落ちていた。
半七捕物帳:52 妖狐伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
このほか、ここ一山を中心として、
払暁
(
ふつぎょう
)
から
午
(
ひる
)
まえの
二刻
(
ふたとき
)
ばかりにわたる合戦中に、武功を示した将士は列挙するに
遑
(
いとま
)
もないほどである。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうしておよそ
二刻
(
ふたとき
)
あまり山路で時を
費
(
ついや
)
したが、その時突然間近の峰から勇ましい
鬨
(
とき
)
の
声
(
こえ
)
が湧き起った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それから
二刻
(
ふたとき
)
ばかり後、源内先生は淀川堤に沿った京街道を
枚方
(
ひらかた
)
の方へセッセと歩いて行く。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
お靜の
清
(
きよ
)
らかさを救ふ爲に、どんな事をしても——とあせりましたが、此密室はどんな設計で出來たものか、
二刻
(
ふたとき
)
あまり探し拔いても、どうしても入つた場所がわかりません。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おえいが話しだすまでに、およそ
二刻
(
ふたとき
)
あまりもかかった。
赤ひげ診療譚:08 氷の下の芽
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二刻
(
ふたとき
)
程もたったろう、花は散っても、まだ春の気分は去らないこのあたりに、宵めく絃歌と共に、ぼつぼつ人が
雑鬧
(
ざっとう
)
して来た。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おい、お武家さん、おれたちは、こうして炎天に照らされながら
二刻
(
ふたとき
)
も前から待っているんです。……つい、いま来て、先にせしめようというなあ、すこしばかり虫がいいでしょう」
顎十郎捕物帳:08 氷献上
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「なんのなんの浅いでよ。
二刻
(
ふたとき
)
も経ったら
癒
(
なお
)
るであろう」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二刻
(
ふたとき
)
余りも戦うと、
脆
(
もろ
)
くも、山中山城守の部下は、先を争って、附近の耕地や、山や、湖畔や、八方へ敗走してしまった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「籤まで
二刻
(
ふたとき
)
ございます」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「では何か、
二刻
(
ふたとき
)
ほどまえに、
時雨堂
(
しぐれどう
)
への道をきいて、関の山へ参ったのだな。よし。それでは、このまま帰るまい、払いは女中へ渡しておいたぞ」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
支那の阿片戦争と日本の場合との比較までを——約
二刻
(
ふたとき
)
も、彦太は、要助から、たてつづけに聞かされて、頭へ詰めきれない程、充血を持って、外へ出た。
脚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いうまでもなく、ここの幹部だけには、やがて
二刻
(
ふたとき
)
とは経たないうちに、天下に何事が突発するか分っている。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに朝から
二刻
(
ふたとき
)
ほども、烈しい教練をやったので、信長は、
那古屋
(
なごや
)
の城へ人数を向け、自身もその中の一騎となって、
庄内川
(
しょうないがわ
)
の河原から引き揚げて来た。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕刻、城中に入ってから、まだ
二刻
(
ふたとき
)
とも経っていないまに、もう信長は、四国征伐の方策に没頭していた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
草雲は、不眠不休のからだを、
二刻
(
ふたとき
)
ほど休めて、早飛脚より、一足あとから、すぐに旅装を締め直した。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああ、その言葉を、彼が口に洩らしてから、実に、
二刻
(
ふたとき
)
とて経たないうちであった。一天の星色次第にあらたまり、水颯々、
雲
(
くも
)
䬒々
(
しゅうしゅう
)
、ようやく風が立ち始めてきた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わずか
二刻
(
ふたとき
)
を過ぎぬまに、盗難に遭った杖は、居ながら自分の前に戻って来たのである。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「へえ、私がお使いに出る
二刻
(
ふたとき
)
ほど前から、奥の座敷でチビチビ飲んでおいででした」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無慮
二刻
(
ふたとき
)
に余る時間を——大なり小なり、快楽、五慾をもたない人間はない。また、その五慾の度を、みずからほどよく——生命の薬ぐらいに——生活に入れている人はすくない。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つい
二刻
(
ふたとき
)
ほど前、陳登馬を飛ばして馳せきたり、わが君には昨夜来、
曹操
(
そうそう
)
の計にかかって重囲に陥ち給えり、
疾
(
と
)
く疾く徐州へ急いで主君を救い奉れ——と、こう城門で呼ばわるなり
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腹も
空
(
す
)
いた、
喉
(
のど
)
も
渇
(
かわ
)
きぬいて来た。
二刻
(
ふたとき
)
あまりも山野を駈けたあとである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが、すでに
二刻
(
ふたとき
)
もまえに、
蓑
(
みの
)
をきた両名のものが、この
関
(
せき
)
へかかったが、
足軽鑑札
(
あしがるかんさつ
)
を持っているので、夜中ではあったが、通したということなので、
討手
(
うって
)
のものは、地だんだをふんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、大将十河殿にむかい
衷情
(
ちゅうじょう
)
を訴えてみましたところ、茶人の量見はわからぬが武士にも約束を重んずる義はある。
二刻
(
ふたとき
)
の間だけ、帰宅をゆるしてやろう。客をすましたら再び陣所へ曳くぞ。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
下役や
中間
(
ちゅうげん
)
をさしずして、
二刻
(
ふたとき
)
ほどで、
万端
(
ばんたん
)
の公務をすました。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それも、時間にすれば、わずか
二刻
(
ふたとき
)
ばかりの違いなのに——
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お綱が、宿をぬけだしてから、やや
二刻
(
ふたとき
)
もたッた時分……。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
も蹴ちらして帰ってきます。
二刻
(
ふたとき
)
とはかかりません
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから
二刻
(
ふたとき
)
か、
一刻
(
いっとき
)
ばかりの
後
(
のち
)
——。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『もう
二刻
(
ふたとき
)
ほどばかり前で』
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二刻
(
ふたとき
)
ほども寝たろうか。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あれから
二刻
(
ふたとき
)
。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二
常用漢字
小1
部首:⼆
2画
刻
常用漢字
小6
部首:⼑
8画
“二刻”で始まる語句
二刻前
二刻半
二刻三刻