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丹青
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たんせい
ふりがな文庫
“
丹青
(
たんせい
)” の例文
さて一同の目の前には天下の浮世絵師が幾人よって
幾度
(
いくたび
)
丹青
(
たんせい
)
を
凝
(
こら
)
しても到底描き
尽
(
つく
)
されぬ
両国橋
(
りょうごくばし
)
の夜の景色が現われ
出
(
いづ
)
るのであった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これらの
絢爛
(
けんらん
)
たる
丹青
(
たんせい
)
のなみの中からわきおこる琴曲の音いろと、すべてがあまり美しくて、見る者はむしろ哀愁をおぼえるくらいだった。
日本婦道記:墨丸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この方面の事を
了
(
お
)
えて、秀吉が姫路へ帰って来たときは、もう九月となっている。木の香、
丹青
(
たんせい
)
すべて新しき城に坐して、秀吉は初めて、こういった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丹青
(
たんせい
)
の薄化粧を洗ひ落し、元の生地の眞珠色の肌に
還
(
かへ
)
つて、紅の無い唇は、色を失つて蒼くさへ見えるのです。
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただまのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌も
湧
(
わ
)
く。着想を紙に落さぬとも
璆鏘
(
きゅうそう
)
の
音
(
おん
)
は
胸裏
(
きょうり
)
に
起
(
おこ
)
る。
丹青
(
たんせい
)
は
画架
(
がか
)
に向って
塗抹
(
とまつ
)
せんでも
五彩
(
ごさい
)
の
絢爛
(
けんらん
)
は
自
(
おのず
)
から
心眼
(
しんがん
)
に映る。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
其の後
一五〇
御廟
(
みべう
)
は
一五一
玉もて
雕
(
ゑ
)
り、
一五二
丹青
(
たんせい
)
を
彩
(
ゑど
)
りなして、
稜威
(
みいづ
)
を
崇
(
あが
)
めたてまつる。かの国にかよふ人は、必ず
幣
(
ぬさ
)
をささげて
一五三
斎
(
いは
)
ひまつるべき御神なりけらし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
外の形はしきたりのものに過ぎないのですが、
一
(
ひ
)
と
度
(
たび
)
内に入れば四面の壁に
幽冥
(
ゆうめい
)
の世界が、まざまざと
丹青
(
たんせい
)
の筆に描かれているのです。それは既にこの世の絵ではありませぬ。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それからその死骸を丸
裸体
(
はだか
)
にして肢体を整え、
香華
(
こうげ
)
を
撒
(
さん
)
じ
神符
(
しんぷ
)
を焼き、
屍鬼
(
しき
)
を
祓
(
はら
)
い去った呉青秀は、やがて紙を
展
(
の
)
べ、
丹青
(
たんせい
)
を按配しつつ、
畢生
(
ひっせい
)
の心血を注いで極彩色の写生を始めた
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
遅れ咲きの
八重
(
やえ
)
ざくらが、
爛漫
(
らんまん
)
として匂う
弥生
(
やよい
)
のおわり頃、最愛の弟子
君川文吾
(
きみかわぶんご
)
という美少人を失って、悲歎やるせなく、この頃は
丹青
(
たんせい
)
の能をすら忘れたように、香を
拈
(
ねん
)
じて物を思い
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
我邦
(
わがくに
)
に来遊する外国の貴紳が日本一の御馳走と称し帰国後第一の
土産話
(
みやげばなし
)
となすは東京
牛込
(
うしごめ
)
早稲田
(
わせだ
)
なる大隈伯爵家温室内の食卓にて巻頭に掲ぐるは画伯
水野年方
(
みずのとしかた
)
氏が
丹青
(
たんせい
)
を
凝
(
こら
)
して描写せし所なり。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
闊
(
ひろ
)
き窓の
下鋪板
(
しもゆか
)
に達するまでに切り開かれたる、
丹青
(
たんせい
)
目を
眩
(
くらま
)
したりけん壁畫の今猶微かに
遺
(
のこ
)
れるなど、昔の豪華の跡は思はるれど、壁の下には石灰の桶いくつともなく並べ据ゑられ、
鋪板
(
ゆか
)
には
芻秣
(
まぐさ
)
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
席は広間に設けられた、かけつらねた
燭台
(
しょくだい
)
はまばゆいほど明るく、
大和絵
(
やまとえ
)
を描いた
屏風
(
びょうぶ
)
の
丹青
(
たんせい
)
も浮くばかり美しかった。
日本婦道記:糸車
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
信長の声は、
金碧
(
きんぺき
)
や
丹青
(
たんせい
)
の
燦
(
かがや
)
くうちにただ一つある墨絵の一室——
狩野永徳
(
かのうえいとく
)
が画くところという
遠寺晩鐘図
(
えんじばんしょうず
)
の
襖
(
ふすま
)
をめぐらした部屋の上段から大きく聞えた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
承
(
うけたまわ
)
り及びたる処によれば、呉家の祖先なにがしと申せし人、最愛の夫人に死別せしを悲しみ、その
屍
(
しかばね
)
の姿を
丹青
(
たんせい
)
に写し
止
(
とど
)
め、電光朝露の世の形見にせむと、心を尽して描き
初
(
そ
)
めしが
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それならば俺は一つその正反対の行き方でもって名を
丹青
(
たんせい
)
、
竹帛
(
ちくはく
)
に垂れてやろう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“丹青”の意味
《名詞》
赤と青。
絵の具。色彩。
絵を描くこと。絵画。
(出典:Wiktionary)
丹
常用漢字
中学
部首:⼂
4画
青
常用漢字
小1
部首:⾭
8画
“丹青”で始まる語句
丹青会
丹青翰墨