不覺そゞろ)” の例文
新字:不覚
院長ゐんちやう不覺そゞろあはれにも、また不氣味ぶきみにもかんじて、猶太人ジウあといて、其禿頭そのはげあたまだの、あしくるぶしなどをみまはしながら、別室べつしつまでつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
相※あひづわれ切腹せつぷく致すなりと申渡されけるに家中の面々大におどろ今宵こよひこそは殿樣とのさまへの御暇乞おいとまごひなりとて不覺そゞろに涙をながし各々座敷へ相詰あひつめける越前守は家中一同を屹度きつと見て池田大助だいすけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わかこゝろにはなさけなく𫁹たがのゆるびし岡持をかもち豆腐おかべつゆのしたゝるよりも不覺そゞろそでをやしぼりけん、兎角とかくこゝろのゆら/\とゑり袖口そでぐちのみらるゝをかてゝくわへて此前このまへとし春雨はるさめはれてののち一日
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こゝろ不覺そゞろ動顛どうてんして、匇卒いきなりへや飛出とびだしたが、ばうかぶらず、フロツクコートもずに、恐怖おそれられたまゝ、大通おほどほり文字もんじはしるのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
れとなやみておくさま不覺そゞろうちまどひぬ、此明このあけくれのそらいろは、れたるときくもれるごとく、いろにしみてあやしきおもひあり、時雨しぐれふるかぜおとひととぼそをたゝくに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)