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らうりよく
間斷なく
消耗して
行く
肉體の
缺損を
補給するために
攝取する
食料は一
椀と
雖も
悉く
自己の
慘憺たる
勞力の一
部を
割いて
居るのである。
けれど
吾等の
勞力は
遂に
無益とならで、
漸の
事で
島に
着いたのは、かれこれ
小半日も
※てから
後の
事、
僅か
三里の
波の
上を、
六時間以上とは
甚だ
遲い
速力ではあるが、それでも
私は
死ぬ
程辛苦かつた。
必要な
繩は
卯平が
丈夫に
綯つて
置いた。それから
壁を
塗るのには
間を
措いて二三
日かゝつた。
勘次も
有繋に
勞力を
惜まなかつた。
さうして
又食料を
求める
爲に
勞力を
他に
割くことによつて、
作物の
畦間を
耕すことも
雜草を
除くことも一
切が
手後れに
成る。
然も
其の
労力に
仕払ふべき、
報酬の
量の
莫大なるに
苦んで、
生命にも
代へて
最惜む
恋人を
仮に
奪ふて、
交換すべき
条件に
充つる
人質と
為たに
相違ない。