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ふどうさま
いいえ、
放すものか、
江戸中に、
女の
数は
降る
程あっても、
思い
詰めたのはお
前一人。ここで
会えたな、
日頃お
願い
申した、
不動様の
御利益に
違いない。
これ
等の
神々の
外に、この
国には
観音様とか、
不動様とか、その
他さまざまのものがございますが、
私がこちらで
実地に
査べたところでは、それはただ
途中の
相違……つまり
幽界の
下層に
居る
眷族が
「つい、そこの
不動様へ、
参詣に
行ったのさ。——そうしてお
前さんは」
「——そこを
眞直が
福島橋で、そのさきが、お
不動樣ですよ、と
圓タクのがいひましたね。」
……
電車通りへ
突つ
立つて、こんなお
話をしたんぢあ、あはれも、
不氣味も
通り
越して、お
不動樣の
縁日にカンカンカンカンカン——と
小屋掛で
鉦をたゝくのも
同然ですがね。
最う
目が
見えぬ、
一生の
大難でござりますと、
御新姐樣をお
拜み
申して、
此の二十
里先の
大巖の
不動樣と
申すのへ、お
籠りの
願掛けに
參りたい、と
泣いて
見せて、
最う
其れまでにも
毎々の