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だうとく
但馬守は
莞爾と
笑つて、
百の
宗教、
千の
道徳も、
一つの
死刑といふものには
敵はない、これほど
效果の
多いものは
他に
求むることが
出來ないと
思つた。
老子、
(一一)道徳を
修む、
其學は
自ら
隱して
名無きを
以て
務と
爲せり。
周に
居ること
之を
久しうして、
周の
衰ふるを
見、
廼ち
遂に
去つて、
(一二)關に
至る。
……けんども、やきもきと
精出いて
人の
色恋で
気を
揉むのが、
主たち
道徳の
役だんべい、
押死んだ
魂さ
導くも
勤なら、
持余した
色恋の
捌を
着けるも
法ではねえだか、の、
御坊。
申子は
(一二五)卑卑、
(一二六)之を
名實に
施す。
韓子は
(一二七)繩墨を
引いて
事情に
切に、
是非を
明かにす、
其れ
極めて
(一二八)慘礉にして
恩少し。
皆道徳の
意に
原づく。
(一三)關令尹喜曰く、『
子將に
隱れんとす、
彊ひて
我が
爲めに
書を
著はせ』と。
是に
於て
老子廼ち
書上下篇を
著はし、
道徳の
意を
言ふこと五千
餘言にして
去れり。
其の
終る
所を
知る
莫し。