麻袋あさぶくろ)” の例文
くだん麻袋あさぶくろくちけて、握飯にぎりめしでもしさうなのが、一挺いつちやう小刀こがたな抽取ぬきとつて、無雑作むざうさに、さくりとてる、ヤまたれる、えだはすかりとふたツにつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それで、盗品のひつのなるべく軽いものを一つ背負って、強盗について行った。すると、朱雀門すざくもんそばまで行くと、そこで盗品をわけ合って、この男にも麻袋あさぶくろ一枚れた。
女強盗 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
子供らは冬の寒中に、南京米なんきんまい麻袋あさぶくろ這入はいってふるえていることさえあった。
たちまち、女房と二人を、後ろ手にくくしあげ、天井裏、床下と、手分けして家探しにかかる。贓品ぞうひんは彼の寝台の下、地下数尺の下から掘り出された。一つかみほどな、金銀宝石の入った麻袋あさぶくろだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祖父おほぢさくに、ひさしぶりのはなしがある、と美女たをやめざう受取うけとつて、老爺ぢい天守てんしゆ胡座あぐらしてあとのこつた。ときに、祖父おほぢわがまゝのわびだと言つて、麻袋あさぶくろを、烏帽子えばうしれたまゝ雪枝ゆきえゆづつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みなまではせず、老爺ぢいまゆ白銀しろがねごとひかりびて、太陽むかかゞやかした。手拍子てべうしつやう、こし麻袋あさぶくろをはた/\とたゝいたが、おにむかつていしきく、大胆不敵だいたんふてきさまえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)