非番ひばん)” の例文
西町奉行にしまちぶぎやう荒尾但馬守あらをたじまのかみが、江戸表えどおもてから着任ちやくにんするといふので、三十與力よりきは、非番ひばん同心どうしんれて、先例せんれいとほ守口もりぐちまで出迎でむかへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
去程さるほどふだつじの自身番より月番の町奉行中山出雲守殿へ右の次第をうつたへに及びければ檢使の役人兩人非番ひばんの町奉行より一人出張しゆつちやうに相成立合の上死骸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
後日ごじつ東京驛とうきやうえきかへつたとき居合ゐあはせた赤帽君あかばうくんに、その二十四——のをくと、ちやう非番ひばんやすみだとふ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「不孝者め。困った奴だ。あしたは非番ひばんだから、おれも探しに出よう。まだほかにも心あたりはある」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
非番ひばんか閑散の人を一人世話してくれと頼んだ。これは正直恐れ入った本当の謙遜けんそんである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
堀は前役ぜんやく矢部駿河守定謙やべするがのかみさだかたのちいで、去年十一月に西町奉行になつて、やう/\今月二日に到着した。東西の町奉行は月番交代つきばんかうたいをして職務をおこなつてゐて、今月は堀が非番ひばんである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
軍艦ぐんかんにしても、あんなにはや船脚ふなあし新式しんしき巡洋艦じゆんやうかんか、水雷驅逐艦すいらいくちくかんほかはあるまい。』と二とう運轉手うんてんしゆ非番ひばん舵手だしゆ水夫すゐふ火夫くわふ船丁ボーイいたるまで、たがひ見合みあはせつゝ口々くち/″\のゝしさはいでる。
みぎ文體ぶんてい也ければたゞちに麹町三丁目町醫師村井長庵呼出よびだしの差紙さしがみを札の辻の町役人へ渡されければ非番ひばんの家主即時そくじに麹町の名主の玄關へ持參なし順序じゆんじよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もちうらやましと譽めながら戸村をよびかの使者に大膳殿は今日御上御連歌れんがの御相手にて御座ござの間よりほかへ出席成難なりがたし同役山内伊賀亮非番ひばんなれば代りて御目に懸らんと御使者の間へ通すべしと言付いひつけられて此趣きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)