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雜木林
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ざふきばやし
雜木林の
間には
又芒の
硬直な
葉が
空を
刺さうとして
立つ。
其麥や
芒の
下に
居を
求める
雲雀が
時々空を
占めて
春が
深けたと
喚びかける。
その
空の
明るみを
映す
田の
水や、
處處の
雜木林の
影が
蒼黒い
夜の
闇の
中に
浮き
上つて
見え
出した。
私はそれをぢつと
見詰めてゐる
内に、
何となく
感傷的な
氣分に
落ちて
來た。
それで
一先づそれを、
雜木林の
中へ
擔ぎ
込んで。
其の
日も
埃が
天を
焦して
立つた。
其の
埃は
黄褐色で
霧の
如く
地上の
凡てを
掩ひ
且つ
包んだ。
雜木林は一
齊に
斜に
傾かうとして
梢は
彎曲を
描いた。
さういふ
村落を
包んで
其處にも
雜木林が一
帶に
赭くなつて
居る。
他に
先立つて
際どく
燃えるやうになつた
白膠木の
葉が
黒い
土と
遠く
相映じて
居る。