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鈍
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おぞ
ふりがな文庫
“
鈍
(
おぞ
)” の例文
此處の歌は七首の聯作で、ほかの歌には、『後悔いむかも
鈍
(
おぞ
)
の亞米利加』とあつたり、『罪をはや知りて
贖
(
あがな
)
ひまつれ亞米利加
奴
(
やつこ
)
』
愛国歌小観
(旧字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
冷たい時期の間は、
鈍
(
おぞ
)
く寒い大気の中に、ありとあらゆるものは、端という端、尖という尖から、
氷柱
(
つらら
)
を涙のように垂らして黙り込んでいた。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
南無三
(
なむさん
)
、
罠
(
わな
)
にてありけるか。
鈍
(
おぞ
)
くも
釣
(
つ
)
られし
口惜
(
くちお
)
しさよ。さばれ
人間
(
ひと
)
の来らぬ間に、
逃
(
のが
)
るるまでは逃れて見ん」ト。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
別して
呆
(
あき
)
れたるは
主
(
あるじ
)
の妻なり。彼は
鈍
(
おぞ
)
ましからず胸の
跳
(
をど
)
るを覚えぬ。同じ思は二人が
面
(
おもて
)
にも
顕
(
あらは
)
るるを見るべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
左に推させ、
耶
(
や
)
と右へ、捻ぢ回したる
打擂
(
すまひ
)
の
本手
(
てなみ
)
に、さしも
悍
(
たけ
)
たる須本太牛は、
鈍
(
おぞ
)
や
頑童
(
わらべ
)
の
放下
(
ほか
)
さるる
猪児
(
ゐのこ
)
の
似
(
ごと
)
く
地響
(
ぢひびき
)
して摚と仰反り倒れけり——と描写している。
越後の闘牛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
▼ もっと見る
かの手鍋下げてもといふ世の諺はあれど、真の愛はその人の名を成し、その身を立たしむるものてふことを。そなたの今の詞あらでは悟らざりし我の心の
鈍
(
おぞ
)
ましさよ。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
見るもの障るもの、彼の心を
苛
(
いら
)
つかせる種にならぬものはなかつた。淡海公の百年前に実行してしまつて居る事に、今はじめて自分の心づいた
鈍
(
おぞ
)
ましさを憤つて居る。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
此世の人のさま/″\を、何ともならばなれがしに斥け捨つるは卑しきやうなり、何とて尼にはなりたりけん、如何にもして女と共に経るべかりしに、
鈍
(
おぞ
)
くも自ら過ちけるよ
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
貞之進も
恐々
(
こわごわ
)
末席へ就いたが、あとで思うとあまり末席過ぎて両隣りが明いて居るため、かえって誰の目にも附くようで我ながら
鈍
(
おぞ
)
ましい、これにしても
知己
(
しりびと
)
のひとりでも来ればと
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
……と言いつつ亭主の顔を
屹
(
きっ
)
と見れば、
鈍
(
おぞ
)
や探偵と信じて得右衛門は有体に
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今まで秀子を輪田夏子だと気の附かなんだが
鈍
(
おぞ
)
ましい、秀子が夏子だと云う事は殆ど到る処に現われて居る、余は恋と云う妄念に目が眩み、是ほど明白な事実を見る事が出来なんだであろうか
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
あるは曲れる「
癡
(
ち
)
」の角にいと
鈍
(
おぞ
)
ましき「慾」の牛
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
昨日
(
きのふ
)
の羽根のたかぶりも、今はた
鈍
(
おぞ
)
に痛はしく
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
さきにわがため命を
棄
(
すて
)
し、
阿駒
(
おこま
)
が
赤心
(
まごころ
)
通じけん、
鈍
(
おぞ
)
くも爾釣り寄せられて、罠に落ちしも
免
(
の
)
がれぬ天命。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
見るもの障るもの、彼の心を
苛
(
いら
)
つかせる種にならぬものはなかった。淡海公の、小百年前に実行して居る事に、今はじめて自分の心づいた
鈍
(
おぞ
)
ましさが、憤らずに居られなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
夫はいつも通りわたくしに寝鳥の肌ぬくい締め立てでも
銜
(
くわ
)
えて来て、私の朝飯に食べさそうと、目白あたりまであさり廻るうち、
鈍
(
おぞ
)
くも狐師の七蔵に生捕りにされたのでございます。
狐
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あなあはれ
鈍
(
おぞ
)
や亞米利加
神風
(
かむかぜ
)
の
恐
(
かしこ
)
きことを
汝
(
な
)
は知らずやも (同)
愛国歌小観
(旧字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
昨日
(
きのふ
)
の羽根のたかぶりも、今はた
鈍
(
おぞ
)
に痛はしく
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
智識のすがたこれなめり、
鈍
(
おぞ
)
しや、われら
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
さばれ爾が尾いまだ九ツに
割
(
さ
)
けず、
三国
(
さんごく
)
飛行
(
ひぎょう
)
の神通なければ、つひに
鈍
(
おぞ
)
くも罠に落ちて、この野の露と消えんこと、けだし
免
(
のが
)
れぬ因果応報、大明神の
冥罰
(
みょうばつ
)
のほど、今こそ思ひ知れよかし。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
ですが、じーっと見詰めていると、この永劫の死滅の姿そのものが、姿そのまゝで今や微かに息を吹き返し、
鈍
(
おぞ
)
い眼を開きかけているように感じられて来るのはどういうわけでしょうか。気持の悪い。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かぎりも波の
搖蕩
(
たゆたひ
)
に、眠るも
鈍
(
おぞ
)
と
嘲
(
あざ
)
みがほ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
かぎりも波の
揺蕩
(
たゆたひ
)
に、眠るも
鈍
(
おぞ
)
と
嘲
(
あざ
)
みがほ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
鈍
(
おぞ
)
なりや、
宴
(
うたげ
)
のくづれ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
鈍
(
おぞ
)
なりや、
宴
(
うたげ
)
のくづれ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
“鈍”の意味
《名詞》
(なまくら)鈍い刃物。
(出典:Wiktionary)
鈍
常用漢字
中学
部首:⾦
12画
“鈍”を含む語句
愚鈍
遅鈍
魯鈍
鈍色
鈍刀
鈍物
鈍重
青鈍
薄鈍
鈍痴
鈍間
鈍々
利鈍
手鈍
鈍痴漢
鈍臭
遲鈍
鈍児
鈍遅
鈍人
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