通過とほりす)” の例文
つれかたみんな通過とほりすぎてしまつたやうでござりますで、大概たいがい大丈夫だいぢやうぶでござりませう。徐々そろ/\曳出ひきだしてませうで。いや、うもの、あれでござりますよ。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
富士神社を通過とほりすぎた頃、丑松は振返つて、父の墓のある方を眺めたが、其時はもう牛小屋も見えなかつた——唯、蕭条せうでうとした高原のかなたに当つて
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それ永遠えいえんけない宇宙うちうなぞでもあるかのやう。友と私とはくびれて工場の前を通過とほりすぎた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
かさなやまつゞいたゞきそびゆるみねるにつけて、すさまじき大濤おほなみゆき風情ふぜいおもひながら、たびこゝろみて通過とほりすぎました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とき袖崎そでさきつゞいて、背後うしろからならんでた五六だいくるまが、がら/\と川縁かはべりを、まちして通過とほりすぎる。看板かんばん薄黄色うすきいろが、まくけた舞臺ぶたいはしおもむきえた。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かう買物かひもの出掛でかけるみちだ。中里町なかざとまちから寺町てらまちかうとする突當つきあたり交番かうばんひとだかりがしてるので通過とほりすぎてから小戻こもどりをして、立停たちどまつて、すこはなれたところ振返ふりかへつてた。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はじめは、たゞあまりに通過とほりすぎるつもりで、ことともなかつたばかりでい。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしまちのさまをるために、この木戸きど通過とほりすぎたことがある。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)