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とほりす
重る
山、
續く
巓、
聳ゆる
峰を
見るにつけて、
凄じき
大濤の
雪の
風情を
思ひながら、
旅の
心も
身に
沁みて
通過ぎました。
と
云ふ
時、
袖崎に
續いて、
背後から
並んで
來た五六
臺の
車が、がら/\と
川縁を、
町へ
差して
通過ぎる。
看板の
薄黄色い
灯が、
幕を
開けた
舞臺を
走る
趣に
見えた。
お
孝が
買物に
出掛ける
道だ。
中里町から
寺町へ
行かうとする
突當の
交番に
人だかりがして
居るので
通過ぎてから
小戻をして、
立停つて、
少し
離れた
處で
振返つて
見た。