“とおりこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
通越55.6%
通過44.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
部屋の前を通越とおりこして台所へ行くか、それとも万一ひょっと障子がくかと、成行なりゆきを待つの一ぷんに心の臓を縮めていると、驚破すわ、障子がガタガタと……きかけて、グッとつかえたのを其儘にして
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
どこまでも人をしのいだ仕打しうちな薬売は流眄しりめにかけてわざとらしゅうわし通越とおりこして、すたすた前へ出て、ぬっと小山のような路の突先とっさきへ蝙蝠傘を差して立ったが、そのまま向うへ下りて見えなくなる。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は二十五に成ったら、叔父さんに自分の通過とおりこして来たことを話しましょう。よく小説にいろいろなことが書いてあるけれど、自分の一生を考えると、あんなことは何でも無いわ。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
誰でも一度は通過とおりこさねば成らないような女性に対する情熱をそれらの人達の若い時に結び着けて想像し、あの文覚上人もんがくしょうにんのような男性的な性格の人の胸に懸けられたという婦人の画像を想像し
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)