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輜重
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しちょう
ふりがな文庫
“
輜重
(
しちょう
)” の例文
故に荷を負うの巧馬に
勝
(
まさ
)
る。古ギリシアまた殊にローマ人、これを車に牽かせ荷を負わすに用いたが、近世大いに
輜重
(
しちょう
)
の方に使わる。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
関羽は千五百をひきいて予山にひそみ、敵軍の通過、半ばなるとき、後陣を討って、敵の
輜重
(
しちょう
)
を襲い、火をかけて
焚殺
(
ふんさつ
)
せられよ。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
確かに無理とは思われたが、
輜重
(
しちょう
)
の役などに当てられるよりは、むしろ
己
(
おのれ
)
のために身命を惜しまぬ部下五千とともに危うきを
冒
(
おか
)
すほうを選びたかったのである。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それから
縦
(
たと
)
い戦争に行くことが出来ても、
輜重
(
しちょう
)
に編入せられて、運搬をさせられるかも知れないと思って見る。自分だって車の前に立たせられたら、
挽
(
ひ
)
きもしよう。
あそび
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
等の編成が行われ、諸軍合せて、歩兵は五十五大隊、砲兵六大隊、工兵一大隊、騎兵及
輜重
(
しちょう
)
兵若干、それにこの戦に特別の働があった警視庁巡査の九隊、総員
凡
(
およ
)
そ五万人である。
田原坂合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
燕兵勢に乗じて営に
逼
(
せま
)
り火を
縦
(
はな
)
つ。急風火を
扇
(
あお
)
る。
是
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
て南軍
大
(
おおい
)
に
潰
(
つい
)
え、
郭英
(
かくえい
)
等
(
ら
)
は西に
奔
(
はし
)
り、景隆は南に奔る。器械
輜重
(
しちょう
)
、皆燕の
獲
(
う
)
るところとなり、南兵の
横尸
(
おうし
)
百余里に及ぶ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その不幸な事件というのは、或る日彼が、ソ連空軍の爆撃の跡を視察するため、崩れかかった家屋の前に立っていたとき、そこへ急カーヴを切り
輜重
(
しちょう
)
隊のトラックが驀進してきた。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それも、川中島へ出は出たものの、しんがりにあって、主に
輜重
(
しちょう
)
の宰領に当っていた。
城を守る者
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
されども海陸軍、必ずしも軍人のみをもって支配すべからず。軍律の裁判には、法学士なかるべからず。患者のためには、医学士なかるべからず。行軍の時に、
輜重
(
しちょう
)
・
兵粮
(
ひょうろう
)
の事あり。
学問の独立
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それは背中に長さ四フィート半の木の枠をくくりつけ、この
架掛
(
しょいこ
)
に我々の
輜重
(
しちょう
)
行李をつけるのである。背中に厚い筵をあてがい、それの上にこの粗末な
背嚢
(
はいのう
)
、即ち枠を倚り掛らせる。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「私の父は陸軍
輜重
(
しちょう
)
兵第六大隊、輜重兵輜重
輸卒
(
ゆそつ
)
、徳永磯吉であります、——」
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
その
籠城
(
ろうじょう
)
のときにおいて、差し支えなき糧食
輜重
(
しちょう
)
をば平生に調達しおかざるべからずとなすがゆえに、第一に封建領主が奨励したるは農業にして、農業中ことに奨励したるは穀物の産出なり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
殿
(
しんが
)
りをつとめるのは
輜重
(
しちょう
)
で、その傍にさも物思わしげに、ぴょんと長い耳のついた頭をうなだれながら歩いている、一匹の飛切り可愛らしい面つきの畜生があったが——これはマガールという驢馬で
接吻
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
輜重
(
しちょう
)
を運べる間流れ丸に
中
(
あ
)
たりて即死したる報道を得しより、いと痛う力を落しぬ、これよりは隠気に
鎖
(
と
)
じ
籠
(
こも
)
り終日戸の外にも出でず、屋の煙さえいと絶え絶えにて、時々寒食断食することさえあり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
兵糧
輜重
(
しちょう
)
などを主とした後陣の守りには、
于禁
(
うきん
)
、李典の二将をおき、自身は副将の夏侯蘭、
護軍
(
ごぐん
)
の
韓浩
(
かんこう
)
の二人を具して、さらにすすんだ。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
年齢もようやく四十に近い血気盛りとあっては、
輜重
(
しちょう
)
の役はあまりに情けなかったに違いない。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
小荷駄(
輜重
(
しちょう
)
)直江大和守
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「猶予はならん。すぐ進発の準備をしろ。ここの巴城などは打ち捨て、一路雒城へ通らんことこそ、おれの狙いだ。兵糧を
炊
(
た
)
け、
輜重
(
しちょう
)
を備えろ」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武帝は李陵に命じてこの軍旅の
輜重
(
しちょう
)
のことに当たらせようとした。
未央宮
(
びおうきゅう
)
の
武台殿
(
ぶだいでん
)
に召見された李陵は、しかし、極力その役を免ぜられんことを請うた。陵は、
飛将軍
(
ひしょうぐん
)
と呼ばれた名将
李広
(
りこう
)
の孫。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
宵に出て、
夜半
(
よなか
)
頃、この
蜿蜒
(
えんえん
)
たる
輜重
(
しちょう
)
の行軍は、褒州の難所へかかった。すると谷間から、一軍の蜀兵が、突貫して来た。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兵員は
呼延灼
(
こえんしゃく
)
として、騎兵三千、歩兵八千、
輜重
(
しちょう
)
工兵二千五百、伝令及び物見組約五百。すべてで一万四千人を要求した。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
南征の師は、号して三十万とはいうが、実数は約十万の歩兵と、四万の騎兵隊と、千余車の
輜重
(
しちょう
)
とで編制されていた。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
顧みれば、
呂虔
(
りょけん
)
とか
于禁
(
うきん
)
などの幕将まで負傷している。無数の
輜重
(
しちょう
)
は敵地へ捨ててきた。——ああ。仰げば、暮山すでに
晦
(
くら
)
く陽はかげろうとしている。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
輜重
(
しちょう
)
には、木牛流馬と称する、特殊な運輸車が考案され、兵の鉄帽(鉄かぶと)から
鎧
(
よろい
)
にいたるまで改良された。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
郝思文
(
かくしぶん
)
が先鋒、
宣賛
(
せんさん
)
が
殿軍
(
しんがり
)
、
段常
(
だんじょう
)
が
輜重
(
しちょう
)
隊。そして総司令
関勝
(
かんしょう
)
は、中軍という編制。——これが満都の歓呼と注目をあびて
汴城
(
べんじょう
)
を立つ日の
巷
(
ちまた
)
に歌があった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さらに左翼隊の
榊原康政
(
さかきばらやすまさ
)
は、もっともっと敵部隊の末端にある
大荷駄隊
(
おおにだたい
)
(
輜重
(
しちょう
)
)へ、不意打ちを加えた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、吉川元春の兵は、遠く、背後の平地から
飾磨
(
しかま
)
あたりまで行動し出し、織田軍の
輜重
(
しちょう
)
部隊を奇襲したり、兵船を焼いたり、流言を放ったり、
攪乱
(
こうらん
)
に努め出した。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おそらくは、張飛の先陣、中軍が山を越える頃、
輜重
(
しちょう
)
兵糧の車馬はなお遅れて遠く後陣にあろう。その頃、合図の鼓とともに、いちどに繰り出して、敵陣を寸断せよ。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠征の
輜重
(
しちょう
)
は、もとよりそう多くの糧米は持ってあるけない。行く先々の敵産が計算に入れてある。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
所在の明智衆が近郡からそれぞれ分に応じた人数と家の子を
伴
(
ともな
)
って集合しているため、城下は兵と馬に埋められ、辻々には
輜重
(
しちょう
)
の車馬が
輻輳
(
ふくそう
)
して道も通れぬほどである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてこの砲兵隊の半数は、
輜重
(
しちょう
)
馬車、
幌
(
ほろ
)
馬車、鉄甲車などだった。戦力、思うべしである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、
江越
(
ごうえつ
)
の境は、雪、
蜀道
(
しょくどう
)
の如きものがある。兵も
輜重
(
しちょう
)
も越えられたものではない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
のみならず、さきに従えてきた五千余の兵力も、その半分は、兵糧移送の
輜重
(
しちょう
)
につけて、漢中へ先発させ、西城県の小城のうち、見わたせば、
寥々
(
りょうりょう
)
たる兵力しか数えられなかった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
騎馬兵二万、歩兵八万、そのほかおびただしい
輜重
(
しちょう
)
や機械化兵団まで備わっていた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曹操は八十余万の大軍を催し、先鋒を四軍団にわかち、中軍に五部門を備え、後続、遊軍、
輜重
(
しちょう
)
など、物々しい大編制で、明日は許都を発せんと号令した。中太夫
孔融
(
こうゆう
)
は、前の日、彼に諫めた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし仕事は、
輜重
(
しちょう
)
の荷駄隊がおもである。ゆるやかな動きにすぎない。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あれほどいた兵馬
輜重
(
しちょう
)
が、いちどに城下外へ出て行ったためである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
途々の悪路には、
輜重
(
しちょう
)
の車馬が踏みあらした
轍
(
わだち
)
が深く刻まれている。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わけて
輜重
(
しちょう
)
の困難はいうばかりでない。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“輜重”の意味
《名詞》
旅行者の荷物。
軍隊で前線の兵に送る軍需品の総称。
(出典:Wiktionary)
“輜重”の解説
輜重(しちょう)は、軍隊で、前線に輸送・補給するべき兵糧、被服、武器、弾薬などの軍需品の総称のこと。
(出典:Wikipedia)
輜
漢検1級
部首:⾞
15画
重
常用漢字
小3
部首:⾥
9画
“輜重”で始まる語句
輜重兵
輜重隊
輜重車
輜重輸卒
輜重機
輜重部
輜重馬
輜重駄馬