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蹴破
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けやぶ
ふりがな文庫
“
蹴破
(
けやぶ
)” の例文
只
(
ただ
)
その周囲の処に人がドヤ/″\
群集
(
ぐんしゅう
)
して居るだけである。
夫
(
そ
)
れゆえ大きな声を出して
蹴破
(
けやぶ
)
って中へ
飛込
(
とびこ
)
みさえすれば誠に楽な話だ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ワッと
喊声
(
かんせい
)
をあげて、一同は手に手に、拳銃を持って、飛び出した。扉らしいものを、いきなり
蹴破
(
けやぶ
)
ると、地下室の広い廊下が、現れた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
はたして、その日の午後になると、この部落へ、いような
落武者
(
おちむしゃ
)
の一隊がぞろぞろとはいってきた。
各戸
(
かっこ
)
の防ぎを
蹴破
(
けやぶ
)
って
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜は夜で近辺のお屋敷の戸
蔀
(
しとみ
)
を
蹴破
(
けやぶ
)
る物音の、けたたましい叫びと入りまじって聞えて参ることも、室町あたりでさえ珍らしくはございません。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
開かずば
蹴破
(
けやぶ
)
るぞと
嚇
(
おど
)
す
故
(
ゆえ
)
に、是非なく戸を明けたれば入りきたるはヤマハハなり。炉の
横座
(
よこざ
)
に
蹈
(
ふ
)
みはたかりて火にあたり、飯をたきて食わせよという。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
この男は村一番の
強者
(
つわもの
)
で、ある時村の一番強い牛と
喧嘩
(
けんか
)
をして、その牛の角をへし
折
(
お
)
り、あばら
骨
(
ぼね
)
を
蹴破
(
けやぶ
)
って
見事
(
みごと
)
に
倒
(
たお
)
してしまったことのある男であった。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
と云いさま、障子を
蹴破
(
けやぶ
)
って、今しも夫人の胸元を刺そうとしている則重の
利腕
(
きゝうで
)
をむずと捕えた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ええッ!」と彼女は言った、「うちの娘どもを気の毒そうな目で見やがったあのきれいな嬢さんの畜生が、
乞食娘
(
こじきむすめ
)
だって。ええあのどてっ腹を
蹴破
(
けやぶ
)
ってでもやりたい!」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「アガアトや」と、ルピック夫人はいう——「部屋へはいる前には、叩いて合図をするんだよ。だからって、なにも、馬みたいな力で戸を
蹴破
(
けやぶ
)
らなくったっていいんだからね」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
葛巻
(
つづらま
)
きの
太刀
(
たち
)
をふるいふるい、手に立つ侍を切り払って、単身門の中に踏みこむと、苦もなく
厩
(
うまや
)
の戸を
蹴破
(
けやぶ
)
って、この馬の
覊綱
(
はづな
)
を切るより早く、背に飛びのる
間
(
ま
)
も惜しいように
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それが案に相違して、蘭子の勢いがあまりに
烈
(
はげ
)
しく、ついに襖を
蹴破
(
けやぶ
)
る騒ぎに、さすがの恩田も
辟易
(
へきえき
)
して、なにげなくその場を取りつくろい、無事に蘭子を帰宅させたのであった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
唐紙を
蹴破
(
けやぶ
)
つて、飛び込んだのは次の六疊、——勘兵衞お關の寢て居た八疊と、その次の間の六疊、——
離屋
(
はなれ
)
はこの二た部屋きり、其處も半分は焔で、南側の縁側から障子へ、天井へと
銭形平次捕物控:215 妾の貞操
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『一遍うんとやっつけて片をつけてしまえ。
彼奴
(
あいつ
)
のどてっ腹を
蹴破
(
けやぶ
)
ってやれ。』
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
どてツ腹あ
蹴破
(
けやぶ
)
つて、このわたを引ずり出して、
噛潰
(
かみつぶ
)
して吐出すんだい!
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
檻
(
おり
)
を
蹴破
(
けやぶ
)
り、
桎梏
(
しっこく
)
をかなぐりすてた女性は、当然ある
昂
(
たかぶ
)
りを胸に
抱
(
いだ
)
く、それゆえ、古い意味の(調和)古い意味の(
諧音
(
かいおん
)
)それらの一切は考えなくともよしとし、(不調和)のうちに調和を示し
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
どうかすると全く
辻褄
(
つじつま
)
の合わないことをやり、女一人でいると、時には何か自分の閉じ
籠
(
こ
)
もっている
牢獄
(
ろうごく
)
の窓を
蹴破
(
けやぶ
)
って飛び出し、思う存分手足を伸ばし胸を張り呼吸をしてみたくもなるものと見え
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一
(
ひと
)
ツ
横
(
よこ
)
ツ
腹
(
ぱら
)
でも
蹴破
(
けやぶ
)
つて
呉
(
く
)
れようかな。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
雨風を
蹴破
(
けやぶ
)
ってワアッと飛出します。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
敵のかこみを
蹴破
(
けやぶ
)
って
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
夜は夜で近辺のお屋敷の戸
蔀
(
しとみ
)
を
蹴破
(
けやぶ
)
る物音の、けたたましい叫びと入りまじつて聞えて参ることも、室町あたりでさへ珍らしくはございません。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「ぎゃーッ」主人に
遮
(
さえぎ
)
られて、辻永は
獣
(
けもの
)
のような声をあげた。これがあの沈着な辻永とはどうして思えよう。彼はクルリとふりむくと、今度は
表戸
(
おもてど
)
を
蹴破
(
けやぶ
)
るようにしてサッと外へ飛び出した。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蹴
常用漢字
中学
部首:⾜
19画
破
常用漢字
小5
部首:⽯
10画
“蹴”で始まる語句
蹴
蹴出
蹴飛
蹴落
蹴上
蹴鞠
蹴散
蹴立
蹴込
蹴倒