はか)” の例文
ここに八百萬の神共にはかりて、速須佐の男の命に千座ちくら置戸おきどを負せ二一、またひげと手足の爪とを切り、祓へしめて、神逐かむやらひ逐ひき。
親類朋友などが相はかって本人の名をもって養子をすることがあり、また時としては死後を秘し、本人の生存を装うて養子をすることもある。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
群臣と共にこうべをあつめて答弁こたえをなさんとはかれども、たれとて蛇の雌雄をば見定むべくもあらぬままただ当惑するばかりなり。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
子遠もしく同志とはかり内外志をかなえ、この事をして少しく端緒あらしめば、吾の志とする所もまた荒せずというべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しょう発意ほついにて山本憲やまもとけん氏にはかり、同氏の塾生として一家を借り受け、これをば梅清処塾ばいせいしょじゅくの分室と称しぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
一〇〇したしきをはかるべきのりにもたがひて、筆の跡だもれ給はぬ叡慮みこころこそ、今はひさしきあたなるかな。
けふこのミュンヘンのに来て、しばし美術学校の『アトリエ』借らむとするも、行李こりの中、唯この一画藁いちがこう、これをおん身ら師友の間にはかりて、成しはてむと願ふのみ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
吾々は紀伊の各地を伝って、旅を高野こうやの山寺で結ぼうとした。実にその夜のことであった。私たちは民藝館の設立をはかり、おそくまで心を躍らせてそのことを語り合った。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
たちばう君がしきりにおし問答をするので番人の妻は三度迄階上へ昇つて館員にはかつてれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
御祖の命、子に告りていはく、「須佐の男の命のまします堅州かたすにまゐ向きてば、かならずその大神はかりたまひなむ」
当時栄玄の妻は既に歿していたから、これは河東かとう獅子吼ししくを恐れたのではなく、全く主人の性癖のためであった。抽斎は五百にはかって苫を貰い受け、後下総しもうさの農家に嫁せしめた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
だから本当に分ったら、言葉などでは説きおえないものがありましょう。また分別などでははかり尽せないものが残りましょう。そうなると陀羅尼風に分るものがなければなりません。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
にや女史がその流暢りゅうちょうの弁舌もて、滔々とうとう女権拡張の大義を唱道せられし時の如きしょうも奮慨おくあたわず、女史の滞在中有志家を以て任ずる人の夫人令嬢等にはかりて、女子懇親会を組織し
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「あなた方にはかるが」と云つて、翁は更に「自分のデツサンの多くを送つて日本で展覧会を開きたいと思ふが、う云ふ人達が日本で斡旋の労を取つてれるか。う云ふ場所で陳列されるか。 ...
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ここに二柱の神はかりたまひて、「今、吾が生める子ふさはず。なほうべ天つ神の御所みもとまをさな」とのりたまひて、すなはち共にゐ上りて、天つ神のみことを請ひたまひき。
大臣に随ひて帰東の途に上ぼりしときは、相沢とはかりてエリスが母にかすかなる生計たつきを営むに足るほどの資本を与へ、あはれなる狂女の胎内に遺しゝ子の生れむをりの事をも頼みおきぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
さては人の心の頼めなきことよなど案じわずらいつつ、て待たんよりは、むしろ行きて見るにかずと、これを葉石氏にはかりしに、心変りならば行くもせんなし、さなくばおるも消息のなからんやという。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
大臣に隨ひて歸東の途に上ぼりしときは、相澤とはかりてエリスが母に微かなる生計を營むに足るほどの資本を與へ、あはれなる狂女の胎内に遺しゝ子の生れむをりの事をも頼みおきぬ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)