言下げんか)” の例文
ともかく前いったような「人」が前いったような態度で書いたところの詩でなければ、私は言下げんかに「すくなくとも私には不必要だ」ということができる。
弓町より (新字新仮名) / 石川啄木(著)
「もちろん事件だ」帆村は言下げんかに答えた。「わるくすると、われわれの想像できないような大事件かも知れない」
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「恐らくそんなことはしません」私は言下げんかに答えました。「もうあの事件は落着してしまったのです。今更新しい犠牲者を出す必要がないではありませんか」
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
多少、物事が分ってからは、不平を抱かずにいられませんでしたが、いえば、言下げんかに——。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よめ先手せんてゆ。いはく、ひがしの五からはじめてみなみの九のいしと、しうと言下げんかおうじて、ひがしの五とみなみの十二と、やゝありてよめこゑ西にしの八ツからみなみの十へ、しうといさゝか猶豫ためらはず、西にしの九とみなみの十へ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おまへのかれてるは誰何どなたれるかえと母親はゝおやへば、言下げんか兄樣にいさん御座ござりましやうとふ、左樣さうわかればもう仔細しさいし、いまはなしてくだされたことおぼえてかとへば、つてまする
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
言下げんか武村たけむらばれたる兵曹へいそうは、つと進寄すゝみよ威勢ゐせいよく少年せうねん抱上いだきあげて
言下げんかに、大チャンはさも当然なことのように答えた。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
芹沢にいわれて土方歳三は言下げんかに引受け
言下げんかに、木戸と波立二が、机博士をとりおさえた。そして水ガモのように細いからだで、キーキー声をあげて抵抗する机博士を、またたくうちに素っ裸にした。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、老臣ろうしん伊東十兵衛いとうじゅうべえ言下げんかに立ちかけたけれどイヤにひざおもい。はてな、と思って気がついて見ると、使いをしてきた三太郎猿さんたろうざる最前さいぜんからしたり顔をして、じぶんの膝にもたれている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
言下げんかに、私たちを背負った二人の人造人間は、うごきだした。そして指揮塔の出入口から出ていった。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
言下げんかに、ガランと地をって、かれの足もとへみどろの鉄杖てつじょうが投げだされた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大統領は、例のねちねちした云い方で、金博士にせまった。そのとき金博士は言下げんかに応えた。
言下げんかかたをそびやかしていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
言下げんかに木戸と波立二が、机博士の身体検査をしたが、むろん、フィルムはでてこなかった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
海部側の同心は、言下げんか
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「逃げませんよ、私ア」と言下げんかこたえた。「一緒に行ったげましょう」
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、私は言下げんかに否定した。米連と欧弗同盟は、三十年来の敵同志だ。それが、急に手を握るなんて、あるものか。第一、双方とも、既に戦闘するつもりで、高度の大動員を行っているではないか。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
言下げんかに、トラ十の手に、きらりと光ったものがある。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「笹木君ではありません」と帆村が言下げんかに答えた。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
言下げんかに大江山課長はヌッと前へ出た。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と長良川博士は、言下げんかにこたえた。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)