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くらんど
ふりがな文庫
“
蔵人
(
くらんど
)” の例文
旧字:
藏人
名を
蔵人
(
くらんど
)
蔵人といって、酒屋の御用の胸板を
仰反
(
のけぞ
)
らせ、豆腐屋の
遁腰
(
にげごし
)
を
怯
(
おびやか
)
したのが、焼ける前から
宵啼
(
よいなき
)
という
忌
(
いま
)
わしいことをした。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして
為朝
(
ためとも
)
の
御機嫌
(
ごきげん
)
をとるつもりで、
急
(
きゅう
)
に
新院
(
しんいん
)
に
願
(
ねが
)
って
為朝
(
ためとも
)
を
蔵人
(
くらんど
)
という
重
(
おも
)
い
役
(
やく
)
にとり
立
(
た
)
てようといいました。すると
為朝
(
ためとも
)
はあざ
笑
(
わら
)
って
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
御池
(
みいけ
)
十郎左衛門だの
太田黒兵助
(
おおたぐろひょうすけ
)
だの、
南保
(
なんぽう
)
余一兵衛、小橋
蔵人
(
くらんど
)
などとよぶ十剣の人たちは、その演舌が気にくわない顔つきで
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただちにお城内、お濠方畑野
蔵人
(
くらんど
)
、三宅平七御両名へ、右門、二、三日中によき生きみやげ持参つかまつると伝言すべし
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
虫が草間で
喞
(
すだ
)
いていた。そうして秋草が花咲いていた。草を分け露を散らし、光明優婆塞はひた走った。直江
蔵人
(
くらんど
)
の
館
(
やかた
)
のある鍵手ヶ原も走り過ぎた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
一寸やそっとの
謀叛
(
むほん
)
では、さゆるぎもしそうもない現状に、いち早く気づいたのは、
鹿ヶ谷
(
ししがたに
)
の定連の一人、多田
蔵人
(
くらんど
)
行綱である。彼はかつて、新大納言成親から
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
大宮の庭の名残りの黄菊紫蘭とも見え、月の光に暗い
勾欄
(
こうらん
)
の奥からは
緋
(
ひ
)
の袴をした
待宵
(
まつよい
)
の
小侍従
(
こじじゅう
)
が現われ、
木連格子
(
きつれごうし
)
の下から、ものかわの
蔵人
(
くらんど
)
も出て来そうです。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
高須
隼人
(
はいと
)
、国家老、本多民部左衛門、川合
蔵人
(
くらんど
)
、家老並、松平
主水
(
もんど
)
、以下用人、番頭、物頭を大手門先の上邸へ招集し、大広間で古事披露の祝宴を張り、宴半ばで
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
江戸を立つまえ、主計は側用人の戸田
蔵人
(
くらんど
)
に呼ばれ、いろいろ眼にあまる行跡が多いにもかかわらず、寛大に扱われているのは殿の御意によるものだ、それを忘れては相済まぬぞ、と云われた。
古今集巻之五
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
丸目
蔵人
(
くらんど
)
、塚原卜伝などの武勇伝物というのも、筋はみな大同小異、娘を助ける、狒々が出る、敵を討つ、御前試合をやる。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああ、愛吉、お前のおともだちの
蔵人
(
くらんど
)
(
軍鶏
(
とうまる
)
呼名)もね、人形町の火事ッきり、どこへ行ったか分らないんだよ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「敵か味方か存ぜねど、われは村上
蔵人
(
くらんど
)
義隆、敵ならば
首級
(
くび
)
とって功名にせよ! 味方ならば
介錯
(
かいしゃく
)
たのむ!」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いわずとしれた、むっつり右門であろう、というように、にったり笑ったところへ、足軽六、七人を従えて色めきたちつつはせつけたのは、お組頭畑野
蔵人
(
くらんど
)
でした。
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
敵
(
てき
)
が
攻
(
せ
)
めて
来
(
き
)
たというのに、よけいなことをする
手間
(
てま
)
で、なぜ
早
(
はや
)
く
敵
(
てき
)
を
防
(
ふせ
)
ぐ
用意
(
ようい
)
をしないのです。
蔵人
(
くらんど
)
でもなんでもかまいません。わたしはあくまで
鎮西八郎
(
ちんぜいはちろう
)
です。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
宴はいよいよ
爛熟
(
らんじゅく
)
し、主従同列に盃を舞わして、歓をつくしているうちに、首席国家老の川合
蔵人
(
くらんど
)
だけは、盃もとらず、苦虫を噛んだような渋っ面で腕あぐらをかいて、むっつりと控えている。
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
よし、
蔵人
(
くらんど
)
はここで待て、人数が来たら曲者を捜すように申せ。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
確かに、貴方と仲の悪い十郎
蔵人
(
くらんど
)
殿は私のところに来ました。
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
京流吉岡の伝統を負って立つべき十剣のうちの、小橋
蔵人
(
くらんど
)
がまず先に
斃
(
たお
)
れてしまい、今また御池十郎左衛門ともあろうほどの者が、つづいて大地へ
俯
(
う
)
ッ
伏
(
ぷ
)
した。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蔵人
(
くらんど
)
の
鷺
(
さぎ
)
ならねども、手どらまへた都鳥を見て、将軍の御威光、殿の
恩徳
(
おんとく
)
とまでは仔細ない、——別荘で取つて帰つて、
羽
(
は
)
ぶしを
結
(
ゆわ
)
へて、桜の枝につるし上げた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
蔵人
(
くらんど
)
はいうまでもないこと、三宅平七はじめお濠方の番士たちは、いずれも目をみはりました。
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「土岐
蔵人
(
くらんど
)
頼春といえば、六波羅、北面ひっくるめての、美男の武士だということじゃの」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しばらくして供の
蔵人
(
くらんど
)
を召した彼は
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
その男はしかも吉岡十剣の中の一人だった小橋
蔵人
(
くらんど
)
であったが、余りにも
迅
(
はや
)
い恐ろしい彼の勢いに
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美濃の名族土岐
蔵人
(
くらんど
)
頼春、このお方の一族で、学問も武芸もお出来になるが、美貌が
祟
(
たた
)
って身がもてない、それに気が弱くて感情ばかり
劇
(
はげ
)
しい、その上に徹底した放浪性の持ち主
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
蔵人
(
くらんど
)
、蔵人。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
植田良平というのは、
祇園
(
ぎおん
)
藤次、
南保余一兵衛
(
なんぽうよいちべえ
)
、
御池
(
みいけ
)
十郎左衛門、小橋
蔵人
(
くらんど
)
、太田黒
兵助
(
ひょうすけ
)
などという古参門下とともに、吉岡の十剣と自称している高弟のうちの一名だった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
直江主水氏康と娘松虫に送られて、土屋庄三郎昌春は
蔵人
(
くらんど
)
の屋敷を出発した。土用明けの富士の裾野、鍵手ヶ原は朝
靄
(
もや
)
立ちこめ桔梗、
女郎花
(
おみなえし
)
、
吾木香
(
われもこう
)
など、しとどに露に濡れている。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
祖先斎藤
蔵人
(
くらんど
)
は、名もなきものにござりますが、義貞公お旗上げの折より、御一族の
脇屋殿
(
わきやどの
)
の手について、鎌倉攻めに参加し、
後
(
のち
)
、
分倍河原
(
ぶばいがわら
)
のたたかいに、討死をとげました。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木刀の主が塚原
卜伝
(
ぼくでん
)
、もう一人の方が直江
蔵人
(
くらんど
)
、大声で愉快そうに話して行く。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
伊藤一刀斎、丸目
蔵人
(
くらんど
)
、柳生
兵庫
(
ひょうご
)
、小野典膳、
諸岡一羽
(
もろおかいちう
)
その他、多くの剣客たちでも、等しく武者修行はしたろうが、各〻、意図する所があり、純粋な剣道修行であったかどうかは疑わしい。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「江戸表にご
逗留
(
とうりゅう
)
中の大原勅使の従臣、三沢
蔵人
(
くらんど
)
でござるが」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
頭
(
とう
)
ノ
蔵人
(
くらんど
)
冬方
(
ふゆかた
)
が、みかどの前に、お笛筥を供える。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“蔵人”の解説
蔵人(くろうど、藏人)は、日本の律令制下の令外官の一つ。天皇の秘書的役割を果たした。唐名は侍中(じちゅう)、夕郎(せきろう)、夕拝郎(せきはいろう)。蔵人所は事務を行う場所のことで、内裏校書殿の北部に置かれた。また、蔵人は百官名或いは人名の一つでもあり、この場合は「くらんど」と読む。
(出典:Wikipedia)
蔵
常用漢字
小6
部首:⾋
15画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“蔵人”で始まる語句
蔵人所
蔵人頭
蔵人得業
蔵人寮
蔵人殿
蔵人弁
蔵人元康
蔵人光茂
蔵人兼高
蔵人大夫