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芳町
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よしちょう
ふりがな文庫
“
芳町
(
よしちょう
)” の例文
「逢いましたよ。
芳町
(
よしちょう
)
の芸者だったそうで、凄い女ですよ。この家のお内儀も綺麗だが、お艶と来たらポトポト水が滴れそうで」
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
芳町
(
よしちょう
)
の
奴
(
やっこ
)
と
嬌名
(
きょうめい
)
高かった妓は、
川上音次郎
(
かわかみおとじろう
)
の妻となって、新女優の始祖マダム
貞奴
(
さだやっこ
)
として、我国でよりも欧米各国にその名を
喧伝
(
けんでん
)
された。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「
芳町
(
よしちょう
)
の
姐
(
ねえ
)
さんとこどうだろう。この間もあの子どうしたかって聞いていたから、もっとも
金嵩
(
かねかさ
)
が少し上がるから、どうかとは思うがね。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これは
芳町
(
よしちょう
)
の小兼と
疾
(
と
)
うより深い中で、今は其の叔父の銚子屋へ預けの身の上、互に逢いたいと一心に思って居るところ
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
後で
芳町
(
よしちょう
)
のだと聞いた、若い
芸妓
(
げいしゃ
)
が二人、
馴染
(
なじみ
)
で給仕をして、いま頃夕飯を、……ちょうど茶をつがせて箸を置いた。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
浜町を抜けて明治座前の
竈河岸
(
へっついがし
)
を渡れば、
芳町
(
よしちょう
)
組合の芸者家の間に打交りて私娼の
置家
(
おきや
)
また夥しくありたり。浜町の女と区別してこれを
蠣殻町
(
かきがらちょう
)
といへり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その日は、捨吉は
芳町
(
よしちょう
)
から
荒布橋
(
あらめばし
)
へと取って、お母さんに別れて来た時のことを胸に浮べながら歩いて行った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
芳町
(
よしちょう
)
の
芸妓
(
げいしゃ
)
で取って二十五になる愛吉というのが……本名はたしか友口愛子といったっけが、去年……明治四十年の暮に金兵衛から引かされて、築地三丁目の横町で
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
芳町
(
よしちょう
)
辺で妙な稼業をしたものの一手の商売ときまり、またその時分すでにそうした気風も幾分かきざしていたけれど、それでも享保時代にはまだ、副業の男娼よりは
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
芳町
(
よしちょう
)
と
蔵前
(
くらまえ
)
に
別
(
わか
)
れ
別
(
わか
)
れに
住
(
す
)
むようになったばかりに、いつか
会
(
あ
)
って
語
(
かた
)
る
日
(
ひ
)
もなく二
年
(
ねん
)
は三
年
(
ねん
)
三
年
(
ねん
)
は五
年
(
ねん
)
と、
速
(
はや
)
くも
月日
(
つきひ
)
は
流
(
なが
)
れ
流
(
なが
)
れて、
辻番付
(
つじばんづけ
)
の
組合
(
くみあわ
)
せに、
振袖姿
(
ふりそですがた
)
の
生々
(
いきいき
)
しさは
見
(
み
)
るにしても
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
芳町
(
よしちょう
)
の
米八
(
よねはち
)
、後に今紫と一緒に女優となって、
千歳米波
(
ちとせべいは
)
とよばれた
妓
(
こ
)
は、わたしの知っている女の断髪の最初だと思う。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
粥河は
素
(
もと
)
より遊山半分信心は
附
(
つけ
)
たりですから、眞葛の外に
長治
(
ちょうじ
)
という下男を連れて、それに
芳町
(
よしちょう
)
の
奴
(
やっこ
)
の
小兼
(
こかね
)
という芸者、この奴というのは男らしいという
綽名
(
あだな
)
で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
多分それは株屋か
問屋筋
(
とんやすじ
)
の
旦那
(
だんな
)
か、
芳町
(
よしちょう
)
に芸者屋をしていたころの引っかかりとしか思えなかったが、小夜子はそういうことについては、一切口を割らなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
両国から
親父橋
(
おやじばし
)
まで歩いて、当時江戸での最も繁華な場所とされている
芳町
(
よしちょう
)
のごちゃごちゃとした通りをあの橋の
畔
(
たもと
)
に出ると、
芋
(
いも
)
の煮込みで名高い居酒屋には人だかりがして
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
……
抱妓
(
かかえ
)
が五人と
分
(
わけ
)
が二人、
雛妓
(
おしゃく
)
が二人、それと台所と
婢
(
ちび
)
の同勢、
蜀山
(
しょくざん
)
兀
(
こつ
)
として阿房宮、富士の霞に日の出の
勢
(
いきおい
)
、
紅白粉
(
べにおしろい
)
が小溝に
溢
(
あふ
)
れて、羽目から友染がはみ出すばかり、
芳町
(
よしちょう
)
の
前
(
ぜん
)
の
住居
(
すまい
)
が
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遊女に今紫があれば芸妓に
芳町
(
よしちょう
)
の
米八
(
よねはち
)
があった。後に千歳米坡と名乗って舞台にも出れば、
寄席
(
よせ
)
にも出て
投節
(
なげぶし
)
などを唄っていた。彼女はじきに
乱髪
(
らんぱつ
)
になる癖があった。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
御贔屓になすった
芳町
(
よしちょう
)
に
金八
(
きんぱち
)
にお豐も御ひいきに成りました、義理が有る
処
(
とこ
)
で、
先
(
まず
)
松源と鳥八十、大茂へまいりまして、又下谷の芸妓ではお稻に
小〆
(
こしめ
)
、
小竹
(
こたけ
)
、小ゑつ
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「商売に出ていたのは、前後で六年くらいのものですから。それも半分は
芳町
(
よしちょう
)
でしたの。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それだけの見識をそなえたものならば知らず、あまりよい名は——つまり名妓をだしたのを誇りにして、取っておきにする例がある。たとえば新橋でぽんた、
芳町
(
よしちょう
)
で
奴
(
やっこ
)
というように……
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
翌日の晩方、銀子は
芳町
(
よしちょう
)
の春よしというその芸者屋へ行ってみた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
明治廿四年浅草公園裏の
吾妻
(
あづま
)
座(後の宮戸座)で、
伊井蓉峰
(
いいようほう
)
をはじめ男女合同学生演劇済美館の旗上げをした時、
芳町
(
よしちょう
)
の芸妓
米八
(
よねはち
)
には
千歳米波
(
ちとせべいは
)
と名乗らせた時分だったか、もすこし
後
(
あと
)
で
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
芳
常用漢字
中学
部首:⾋
7画
町
常用漢字
小1
部首:⽥
7画
“芳町”で始まる語句
芳町辺
芳町通