きこ)” の例文
新字:
すべて、海上かいじやう規則きそくでは、ふね出港しゆつかうの十ぷん乃至ないし十五ふんまへに、船中せんちうまは銅鑼どらひゞききこゆるととも本船ほんせん立去たちさらねばならぬのである。
皺嗄しやがれたほとん聴取きゝとれないほどこゑで、うたふのが何處どこともなくきこえた。わたしおもはずすこあゆみゆるくしてみゝかたむけた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ちと具合ぐあひわるいので、三にん其所そこつてると、それとつた男子達をとこたちは、きこえよがしに高話たかばなしである。何處どこやつだか、んな大穴おほあな穿けやアがつた。今度こんど見附次第みつけしだい叩殺たゝきころしてやるといふ血腥ちなまぐさ鼻息はないき
みゝかたむけると、何處いづくともなく鼕々とう/\なみおときこゆるのは、この削壁かべそとは、怒濤どとう逆卷さかま荒海あらうみで、此處こゝたしか海底かいてい數十すうじふしやくそこであらう。
けれども勞働者の唄はふたゝきこえなかツた。たゞきしめ車輪しやりん鐵槌てつつゐの響とがごツちやになツてきこえるばかりだ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其處此處そここゝには救助すくひもとむるこゑたえ/″\にきこゆるのみ、わたくしさひはひ浮標ブイうしなはで、日出雄少年ひでをせうねんをば右手めてにシカといだいてつた。