翻訳ほんやく)” の例文
旧字:飜譯
それはさておき、チャンウーは鉛筆片手に、字引きと首っぴきで、黄金メダルの裏面りめんにかいてある、スペイン文字の翻訳ほんやくをはじめた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
良平りょうへいはある雑誌社に校正の朱筆しゅふでを握っている。しかしそれは本意ではない。彼は少しの暇さえあれば、翻訳ほんやくのマルクスを耽読たんどくしている。
百合 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大王殿下の同情 私の仕事はチベット語の上書じょうしょはもはやしたためてあるですが、その上書をネパール語に翻訳ほんやくして貰わなければならぬ。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
従来は附木つけぎだけはあったが「はや」なる形容詞をかぶせて通用させようとしても通用しなかった。「ランプ」を行燈あんどんとも手燭てしょくとも翻訳ほんやくしない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
即ち小説、演劇、謡曲等より俳句の題目を探り来り、あるいは絵画の意匠を取り、あるいは他国の文学を翻訳ほんやくする等これなり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
東洋での古来の説をも時々まじえて、それに玄白の経験を基にした考えをも記しているので、全体としては単なる翻訳ほんやく以上に出ているのでした。
杉田玄白 (新字新仮名) / 石原純(著)
私は何とかしてこれらのアカシアの花が私に与えたさっきの唐突な印象を私自身の言葉に翻訳ほんやくして置きたいと思ったのだ。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
俳句の翻訳ほんやくを試みてそれを毎月の雑誌に載せ、せめて季ということに親しまそうと試みましたが、モロッコに居るフランス人がそれに刺戟しげきされて
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
旦斎は、羊の革の文字を、一字一字翻訳ほんやくしてみて、前に話した、渤泥ブルニー(ボルネオ)に渡ったひとびとのことがわかった。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
同一の環境の下にいでても、多様多趣の形態を取ってえ出ずるというドフリスの実験報告は、私の個性の欲求をさながらに翻訳ほんやくして見せてくれる。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
お安いことです、私はうまく書けませんけれども、娘は独逸語も英語も書けますから、娘に翻訳ほんやくさせましょうと云って、ヘニング夫人は引き請けてくれた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかし同君はそちらの方に深入りしないで、近代象徴詩の紹介や翻訳ほんやくに歩みを転ぜられたように思われる。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「たったそれだけしか言わないの」とわたしはこの翻訳ほんやくがたいへん簡単かんたんすぎると思って言った。
それがおわると、れい大入道おうにうどう紳士しんしが、どもりのやうな覚束おぼつかない日本語にほんご翻訳ほんやくしてくれた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「ええ、そして僕はあなたのためならばほかのどんなことでもやりますよ。この詩集、ごらんなさいませんか。ハイネという人のですよ。翻訳ほんやくですけれども仲々よくできてるんです。」
土神ときつね (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
私は、先日あの青年たちが、我々の士官の一人に渡したという手紙の翻訳ほんやくを読んで、彼らの聡明クリア高尚ノーブルな人格にどれだけ感心したか分からない。彼らの熱烈な精神ソウルは私の心を打った。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「君、不二山を翻訳ほんやくして見た事がありますか」と意外な質問をはなたれた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『しかもこの男の叔母おばさんは、この男のことを喜びとしているんです。その叔母さんていうのは、編集長さん、あなたのこのあいだの翻訳ほんやくにあんなに大勢の予約者を集めてくれた人なんですよ——』
りてみるに南翠外史の作、涙香小史の翻訳ほんやくなどなり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
海軍暗号書、「勇」を取り出して、私が翻訳ほんやくした。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
翻訳ほんやくのテキストとしてはコペンハーゲンの Gyldendal 書店から一九四三年に発行されている H.C.Andersens Romaner og Rejseskildringer(小説、旅行記集)の第四巻に収められている Billedbog uden Billeder を
絵のない絵本:02 解説 (新字新仮名) / 矢崎源九郎(著)
鈴木正三すずきしやうざうの同一の怪談を発見し得べし。唯北璿ほくせんはこの話に現実主義的なる解釈を加へ、超自然を自然に翻訳ほんやくしたり。
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで僕は始終しじゅう思うに、個人の訓戒を実際にほどこすには、その抽象的ちゅうしょうてき教訓を具体的に翻訳ほんやくしなければならぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
このほかに、源内の行った仕事としては、西洋の油絵の描き方を会得して、それを人々に伝えたり、また田沼侯のためにオランダ語の翻訳ほんやくに従事したりしたことです。
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)
わたしはこの賞賛しょうさんでたいへんうれしくなって、カピに教えれば、教えたいと思うことはなんでもおぼえることをかれに話した。父親はわたしの言ったことをイギリス語に翻訳ほんやくした。
翻訳ほんやくのテキストとしてはコペンハーゲンの Gyldendal 書店から一九四三年に発行されている H.C.Andersens Romaner og Rejseskildringer(小説、旅行記集)の第四巻に収められている Billedbog uden Billeder を
が、授業のには弔辞を作ったり、教科書をんだり、御前ごぜん講演の添削てんさくをしたり、外国の新聞記事を翻訳ほんやくしたり、——そう云うことも時々はやらなければならぬ。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「よかったらマチアに翻訳ほんやくさせください」とわたしは最後さいご勇気ゆうきをふるって言った。
「解体新書」はクルムスの原著の翻訳ほんやくにはちがいないのですが、そのほかにオランダの解剖書をたくさんに参照してその図を採ったり、またいろいろの説をも引用しているばかりでなく
杉田玄白 (新字新仮名) / 石原純(著)
理想を行為に翻訳ほんやくするが人生
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
良沢を盟主となし玄白のほかになお中川淳庵なかがわじゅんあん桂川甫周かつらがわほしゅう石川玄常いしかわげんじょう、およびその他の人々が相寄ってこの書の翻訳ほんやくに従事することとなり、その後四箇年を費し稿を改めること十一回に及んで
杉田玄白 (新字新仮名) / 石原純(著)