あす)” の例文
あすが日病みお煩いに成っても、お薬一服煎じて貴方にませるものはありませんと思えば、熱かったり寒かったりするたびに気になりまして
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何がお前様、あすが日のことを構うていられるようなこちとらではござらぬじゃて。腹が立つまいことか、御察しなされませ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
左門さきにすすみて、八九南のまどもとにむかへ、座につかしめ、兄長このかみ来り給ふことの遅かりしに、老母も待ちわびて、あすこそと臥所ふしどに入らせ給ふ。
世は様々だ、今ここを通っているおれは、あすの朝になると、もう五六十里先へ飛んで行く。とは寿司屋すしやの職人も今川焼の婆さんも夢にも知るまい。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其日は土曜日で、月給取の身にとつては反つてあすの日曜よりも楽しく思はれたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大勢は庵の前に拝して、その願意を申し述べると、道人はかしらをふって、わたしは山林の隠士で、あすをも知れない老人である。そんな怪異を鎮めるような奇術を知ろう筈はない。
案じる一すじに十兵衞が一日も早くつまや子に安心させんと思ひつめしきりに翌朝あしたは出立せんとて何といひても止まらねば然らばあすは出立して在所の者に少しも早く安心させるもかるべし然樣さう決心けつしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
先づ、あすの晩の御馳走は何にしよう、と余はいふ。
明治卅三年十月十五日記事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
で、あすの朝立たなければならんのであります
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
げにこの朝の不思議さをあすの夕にうち惑ひ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あすの晩にはまたできる
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ソレの色の白い伊香保の木瓜きうり見たいな人で、彼の人が元はお旗下だてえから、人間の行末ゆくすえは分りません……じゃア御新造さん私も種々お話もありますからあすの晩
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今夜こよひ二六あしをやぶり、みつかれて山をくだるとも、おのが古郷ふるさとにもあらず。あすのみち又はかりがたし。此の山は二七扶桑ふさう第一の霊場、二八大師の広徳くわうとくかたるに尽きず。
全くの気違だと云われても仕方がない。仕方がないが、こう云う自分が、時と場合によれば、あすが日にも、また雲が恋しくならんとも限らない。それを思うと何だか変だ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ゆくは不用心なりはや今日も申刻なゝつさがりゆえあすの朝早く出立して參るべしと種々にとゞめけれ共半四郎は殊に大力と云氣象きしやうすぐれたれば一向承知せず必らず御案事あるな萬一もし途中とちうにて追剥おひはぎなど出逢であふ事あらば打倒して仕舞ふ分なり少しもかま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あすとなり、今日のうれひを
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
入りてしもして、又あすの日を待つべし、とあるに、いなみがたく、母をすかしてさきに臥さしめ、もしやとそとに出でて見れば、八二銀河ぎんが影きえぎえに、八三氷輪ひようりん我のみを照して淋しきに
つき夫に付て種々いろ/\談話度事はなしたきことあるにより御迎へ申したり今は間合まあひも惡ければ何卒なにとぞあすの夜此處まで忍び來り給へ緩々ゆる/\とおはなし申さんと呉々くれ/″\も吉三郎に約束やくそくなして歸しけるさて翌日よくじつの夜吉三郎は彼の板塀いたべいの處へ來りしに内よりお竹出迎いでむかへて吉三郎が手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)