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絡
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まつわ
ふりがな文庫
“
絡
(
まつわ
)” の例文
私がのっそりと
突立
(
つッた
)
った
裾
(
すそ
)
へ、女の
脊筋
(
せすじ
)
が
絡
(
まつわ
)
ったようになって、右に左に、肩を
曲
(
くね
)
ると、
居勝手
(
いがって
)
が悪く、白い指がちらちら乱れる。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜笹村の部屋で寝ようとするお銀の懐へ
絡
(
まつわ
)
りついて来る子供は、時々老人の側へ持って行かれたが、やはり駄目であった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ひたひたと
絡
(
まつわ
)
る水とともに、ちらちらと
紅
(
くれない
)
に目を遮ったのは、
倒
(
さかさま
)
に映るという釣鐘の竜の炎でない。
脱棄
(
ぬぎす
)
てた草履に早く戯るる一羽の赤蜻蛉の影でない。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
腰に
絡
(
まつわ
)
りついている婦人連の
歔欷
(
すすりなき
)
が、しめやかに聞えていた。二階一杯に
塞
(
ふさ
)
がった人々は息もつかずに、静まり返っていた。後の方には立っている人も多かった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
見馴れた
半纏
(
はんてん
)
を着ていません。
鎧
(
よろい
)
のようなおぶい半纏を脱いだ姿は、羽衣を棄てた天女に似て、
一層
(
いっそう
)
なよなよと、
雪身
(
せっしん
)
に、絹糸の影が
絡
(
まつわ
)
ったばかりの姿。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
その指には、
白金
(
プラチナ
)
の
小蛇
(
こへび
)
の目に、小さな
黒金剛石
(
くろダイヤ
)
を
象嵌
(
ぞうがん
)
したのが、影の白魚のごとく
絡
(
まつわ
)
っていたのである。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お孝の彼を抉った手は、ここにただ天地一つ、白き
蛇
(
くちなわ
)
のごとく美しく、葛木の腕に
絡
(
まつわ
)
って、
潸々
(
さめざめ
)
と泣く。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あわれあの時あの
婦人
(
おんな
)
が、蟇に
絡
(
まつわ
)
られたのも、猿に抱かれたのも、蝙蝠に吸われたのも、夜中に
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
に
魘
(
おそ
)
われたのも、思い出して、
私
(
わし
)
はひしひしと胸に当った。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「妙法蓮華経如来寿量品。」と繰返したが、聞くものの魂が
舷
(
ふなばた
)
のあたりにさまようような、ものの
怪
(
け
)
が
絡
(
まつわ
)
ったか。烏が二声ばかり
啼
(
な
)
いて通った。七兵衛は空を仰いで
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帯も
扱帯
(
しごき
)
もずり落ちて、
絡
(
まつわ
)
った
裳
(
すそ
)
も糸のように
搦
(
から
)
んだばかり。腹部を長くふっくりと、襟の
辷
(
すべ
)
った、柔かい両の肩、その白さ滑かさというものは、古ぼけた紙に、ふわりと浮く。……
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其までは
宛然
(
まるで
)
恁
(
こ
)
う、
身体
(
からだ
)
へ
絡
(
まつわ
)
つて、肩を包むやうにして、
侍女
(
こしもと
)
の手だの、袖だの、
裾
(
すそ
)
だの、
屏風
(
びょうぶ
)
だの、
襖
(
ふすま
)
だの、
蒲団
(
ふとん
)
だの、
膳
(
ぜん
)
だの、枕だのが、あの、
所狭
(
ところせま
)
きまでといふ風であつたのが
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しがみついたという
体
(
てい
)
で、それで
※々
(
なよなよ
)
と力なさそうに背筋を
曲
(
くね
)
って、
独鈷入
(
とっこいり
)
の
博多
(
はかた
)
の
扱帯
(
しごき
)
が、一ツ
絡
(
まつわ
)
って、ずるりと腰を
辷
(
すべ
)
った、
少
(
わか
)
い女は、帯だけ取ったが、
明石
(
あかし
)
の
縞
(
しま
)
を着たままなんです。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
湯上りの湯のにおいも
可懐
(
なつかし
)
いまで、ほんのり人肌が、
空
(
くう
)
に来て
絡
(
まつわ
)
った。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すっと
陽炎
(
かげろう
)
が
絡
(
まつわ
)
る形に、その水の増す内が、何とも言えない
可
(
い
)
い心地で、自分の背中か、その小児の脚か、それに連れて雲を踏むらしく
糶上
(
せりあが
)
ると、土手の上で、——ここが
可訝
(
おか
)
しい——足の白い
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暗夜
(
やみ
)
の
幻影
(
まぼろし
)
、麻布銀座のあかりがさすか、その藍と紺の横縞の、お
召
(
めし
)
……ですか、その単衣に、
繻子
(
しゅす
)
ではないでしょうが、黒の織物に、さつきの柳の葉が
絡
(
まつわ
)
ったような織出しの優しい帯をしめている。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
絡
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
“絡”を含む語句
連絡
脈絡
掛絡
附絡
引絡
纏絡
足手絡
絡合
籠絡
手絡
聯絡
絡繹
経絡
絡繰
対外文化連絡協会
込絡
繽紛絡繹
袈裟掛絡
足絡
緋手絡
...