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経師屋
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きょうじや
ふりがな文庫
“
経師屋
(
きょうじや
)” の例文
旧字:
經師屋
朝に簾を捲くに及ばず夜に戸を閉すの煩なし。冬来るも
経師屋
(
きょうじや
)
を呼ばず大掃除となるも亦畳屋に用なからん。偏奇館甚独居に便なり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
田原町
(
たわらまち
)
の
経師屋
(
きょうじや
)
東作
(
とうさく
)
、四十年輩の気のきいた男ですが、これが描き菊石の東作といわれた、
稀代
(
きたい
)
の兇賊と知る者は滅多にありません。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「叔母さん、すこし
吾家
(
うち
)
も片付きました。ちと
何卒
(
どうぞ
)
被入
(
いらし
)
って下さい。
経師屋
(
きょうじや
)
を頼みまして、二階から
階下
(
した
)
まですっかり張らせました」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
家に帰れば、留守の間に
経師屋
(
きょうじや
)
来りて、障子を貼りかえてゆく。英一のありし部屋、
俄
(
にわか
)
に明るくなりたるように見ゆるもかえって寂し。
叔父と甥と:――甲字楼日記の一節――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
和助は芳古堂の職人がしらをしていたが、三年まえの五月に、東仲町へ香和堂という店をもち、
経師屋
(
きょうじや
)
として順調にやっていた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
茂「幸兵衛は坂本二丁目の
経師屋
(
きょうじや
)
桃山甘六
(
もゝやまかんろく
)
の弟子で、其の家が代替りになりました時、
暇
(
いとま
)
を取って、それから
私方
(
わたくしかた
)
に居りました」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
衝立
(
ついたて
)
のような、屏風のようなものの、いずれも骨組ばかりのものがとっ散らかされはじめた、とんと
経師屋
(
きょうじや
)
の店先のごとくに。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
あとで公学校の島民教員補に聞くと、この子の両親(
経師屋
(
きょうじや
)
だったそうだ)は子供に死なれてから間もなくこの地を立去ったということである。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
世の中はそう思っておりません。
何
(
なん
)
の小説家がと、小説家をもってあたかも
指物師
(
さしものし
)
とか
経師屋
(
きょうじや
)
のごとく単に筆を
舐
(
ねぶ
)
って衣食する人のように考えている。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
各人各戸に拍子を取ってやったものとすれば、
蒲鉾屋
(
かまぼこや
)
や
経師屋
(
きょうじや
)
の音から類推することはむずかしそうである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
同じく京都の技で忘れ得ないものに
表具
(
ひょうぐ
)
があります。昔は
裱褙
(
ひょうほうえ
)
といいました。作る者を
経師屋
(
きょうじや
)
と呼ぶのは、経巻の仕立が表具の起りであったことを示します。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私は
経師屋
(
きょうじや
)
の恒さんと
相識
(
しりあい
)
になったが、恒さんの祖父なる人がまだ生きていて、
湘南
(
しょうなん
)
のある町の寺に間借りの楽隠居をしていると知ったので、だんだん聞いてみると
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それは一
幅
(
ぷく
)
の画讃の祖師像を、或る時、出入りの
経師屋
(
きょうじや
)
が持って来て見せてくれたことからだった。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何、何たあ、何たあ何だい、
経師屋
(
きょうじや
)
の旦那に向って、何たあ何だい、そんな口は軍鶏に利け。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この人もまた実に不思議な人で、器用というのは全くこういう人の代名詞かと私はいつも思ったことであります。まず、たとえば、料理が出来る。
経師屋
(
きょうじや
)
が出来る。
指物
(
さしもの
)
が出来る。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「新聞やさん。すまないけど夕刊だけ入れてもらえないかね?」「それはどうも有難う。夕刊だけでも、朝刊だけでも配達しますよ。」と私は云った。その隣りは
経師屋
(
きょうじや
)
であった。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
私は東京の新宿区に住み、十八を頭に四人の子供があり、主人は
経師屋
(
きょうじや
)
です。
安吾人生案内:01 その一 〔判官巷を往く〕
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それにつれて筆屋や
経師屋
(
きょうじや
)
の出入りも頻繁であった。経師では良椿
法橋
(
ほっきょう
)
というのが、もっぱら用を弁じたが、筆屋の方の名はわからぬ。ただし筆屋というのは、今日のいわゆる筆商ではない。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
「
足掻
(
あが
)
きやがるな、
経師屋
(
きょうじや
)
」
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「だから金や荷物を預かってもらったんだ、あのときはまだおめえといっしょになって、小さな
経師屋
(
きょうじや
)
でもやるつもりだった」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
襖だけは家主から
経師屋
(
きょうじや
)
の職人をよこして応急の修繕をしてくれたが、それも一度ぎりで姿をみせないので、家内総がかりで貼り残しの壁を貼ることにした。
十番雑記
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
中には
内々
(
ない/\
)
張子連
(
はりこれん
)
などと申しまして、師匠が
何
(
どう
)
かしてお世辞の
一言
(
ひとこと
)
も云うと、それに附込んで
口説落
(
くどきおと
)
そうなどと云う
連中
(
れんじゅう
)
、
経師屋
(
きょうじや
)
連だの、
或
(
あるい
)
は狼連などと云う
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
既に何十頁と事が
極
(
きま
)
ってる上に、頭数を
揃
(
そろ
)
える方が便利だと云う訳であって見れば、たとい具眼者が屑屋だろうが
経師屋
(
きょうじや
)
だろうが相手を
択
(
えら
)
んで筆を
執
(
と
)
るなんて
贅沢
(
ぜいたく
)
の云われた
家業
(
かぎょう
)
じゃない。
元日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
経師屋
(
きょうじや
)
の次男坊で、兄との仲に姉があったため、いかにも気が弱そうです。
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
襖だけは家主から
経師屋
(
きょうじや
)
の職人をよこして応急の修繕をしてくれたが、それも一度ぎりで姿をみせないので、家内総がかりで貼り残しの壁を貼ることにした。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尤
(
もっと
)
も当座は若いお比丘さん独りで
嘸
(
さぞ
)
お淋しかろうなぞと味なことを申して話しに押掛けて参った
経師屋
(
きょうじや
)
もないでもなかったが、日が暮れると決して人を入れないので
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
下谷おかち町の
経師屋
(
きょうじや
)
からも仕事をもらうことになった、主人は茂三郎といってね
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
経師屋
(
きょうじや
)
の
吉三郎
(
きちさぶろう
)
——てんで、とんだ二枚目さ、へッへッへッ」
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
男は代々木の多聞院門前に住む
経師屋
(
きょうじや
)
のせがれ徳次郎、女は内藤新宿甲州屋の抱え女お若で、ままならぬ恋の果ては
死神
(
しにがみ
)
に誘われて、お若は勤め先をぬけ出した。
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
エお前は知ってるのかえなどゝ云われるくらい
強気
(
ごうぎ
)
と詰らねえものはないがネ、私も紀伊國屋の若旦那を知ってるどころじゃアない、紀伊國屋は
幇間
(
たいこもち
)
の方ではないが、
経師屋
(
きょうじや
)
の方でお出入だ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雑穀屋の息子は、
経師屋
(
きょうじや
)
の次男坊よりも頼りがありません。
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“経師屋”の意味
《名詞》
経師屋 (きょうじや)
書画や屏風、ふすまなどの表装を行う職人。経師。表具師。表具屋。
(slang) 女を手に入れようと狙う者。
(出典:Wiktionary)
経
常用漢字
小5
部首:⽷
11画
師
常用漢字
小5
部首:⼱
10画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“経師”で始まる語句
経師
経師職