)” の例文
作男は坊さんと何か話をしていたような素振りさえ見えたが、官私二人の探偵姿を見ると、俄にプリプリしたように鋤をの中に突込んだ。
生れて四十年、一たんの土と十五坪の草葺のあばらぬしになり得た彼は、正に帝王ていおうの気もちで、楽々らくらくと足踏み伸ばして寝たのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかのみならず、地を賜はること、実にたゞ一、二あるも、これにより峰をこえ谷にまたがりてみだりに境界となす、自今以後更に然ることを得ざれ
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
尊徳先生は親代々の六段八という田地を、酒匂川さかわがわの水のために二度まで持って行かれてしまいました。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
や八畝はあらすともままよと覚悟して、しばらく捨ておき、草少なく手軽なるところより片付くべし。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
仲平の父は日向国ひゅうがのくに宮崎郡清武村に二たんほどの宅地があって、そこに三棟の家を建てて住んでいる。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
農民一「はあ、まぁんつ、人並よりは、やったます。百刈りでば、まずおらあだり一反四なんだ、その百刈りさ、馬肥うまごえ、十五だん豆粕まめかす一俵、硫安りゅうあん十貫目もやったます。」
植物医師:郷土喜劇 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
言い忘れたが、最初私は太郎に二たんほどの田をあてがった。そこから十八俵の米が取れた。
分配 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
冬に入ると、屡〻しばしば、大雪が降った。雪が融けると、また濁流に荒らされてしまう。年を越えて、翌年の一月、二月になっても、二人の汗とくわから一の畑も生れなかった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
段別たんべつは一段八あって、土地がよく肥えているので、その田からは相当な収穫があがるが、その田を作る家は、毎年死人が出るので、二年とその田を続けて作る者がなかった。
位牌田 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
源作は、頼母子講たのもしこうを取った。抵当に、一段二の畑を書き込んで、其の監査を頼みに、小川のところへ行った時、小川に、抵当が不十分だと云って頑固にはねつけられたことがあった。
電報 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「右岸に沿うてほぼ南北、支流に沿うて東西に道路を穿うがちましょう、それらの交通路に面して、各戸に割りあてる地積は、間口四十間の奥行百間、この反別は一戸当り一町三反三余となし——」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
両手に一挺のくわを掴んで打振うちふりながら、煉瓦塀に並行した長い畑を二半ほど耕しておりますが、しかしその体躯からだを見ますと御覧の通り、腕も、すねも生白くて、ホッソリ致しておりまするのみならず
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
多くは八たんの狭い地の産である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あの畑が三
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
と彼は妙に落着いた情深い心になりながら「あの男には欠点もあるのです。いやお互に欠点のないものがどこにあろうかな。すなわち、あの男は畑のを ...
葬列はとどこおりなく、彼が家の隣の墓地に入った。此春墓地拡張の相談がきまって、三あまりの小杉山をひらいた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
一頃は田百のことだそうでございます、その一畝というのが日本の一畝と同じことでございますかどうか、日本の一畝は当今では三十坪ということになっておりますが
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彦島村役場の明治頃の土地台帳によると、巌流島全体の面積一たん十六とあるから、いかに小さい島かが分ろう。岸のいちばん高い所でも六十三フィートぐらいなものだとある。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おまんの言う地所の譲り渡しとは、旧本陣屋敷裏の地続きにあたる竹藪の一部と、青山家所有のある屋敷地二とを隣家の伊之助に売却したのをさす。藪五両、地所二十五両である。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
僅か、六か七畝の田を買った時でさえ、親爺と母はホクホクしていた。
浮動する地価 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
うるしの木など、この領地には、なかったものだが、初め苗をやって、五ごとに一本ずつ植えさせた。そして育つと、漆十本のうち二本を藩に納めさせ、あとは農民の収益とした。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東と北に一間の下屋げやをかけて、物置、女中部屋、薪小屋、食堂用の板敷とし、外に小さな浴室よくしつて、井筒いづつも栗の木の四角な井桁いげたえることにした。畑も一たん程買いたした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
何とか小屋でも建てて耕作する一の土地でもないかと落着き場所を求めたが、ぜいたくな望みで、小屋はおろか、その時々の胃をしのぐ一握りのきびも犬の肉すらもありつくのに困難だった。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「孔明とやら、いかに学者か賢人か知らぬが、多寡たか狭隘きょうあいな書斎と十の畑しか知らない奴、実社会はまたちがう。もしお高くとまって、来るの来ないのといったら、張飛がひっさげて参るとも、なんの造作はあるまいに」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)