物質ぶつしつ)” の例文
物質ぶつしつの異同は有れど、小偶像せうぐうぞうを作りて禮拜れいはい目的物もくてきぶつとし又は身のまもりとする事野蠻未開人民やばんみかいじんみん中其例少しとせず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ところが、物質ぶつしつ進化しんか方面ほうめんと、精神上せいしんじようのことゝは反對はんたいで、複雜ふくざつなものをだんだん整頓せいとんして、簡單かんたんにして能力のうりよく出來できることが、文明ぶんめいすゝんでゆくありさまであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
冷却れいきやくしてのち飛散ひさんするとすれば、高尚かうしやうなるほとんかみごと智力ちりよくそなへたる人間にんげんを、虚無きよむより造出つくりだすの必要ひつえうはない。さうしてあたかあざけるがごとくに、またひと粘土ねんどくわする必要ひつえうい。あゝ物質ぶつしつ新陳代謝しんちんたいしやよ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しか樹木じゆもく吸收きふしうして物質ぶつしつの一つちおよ空氣くうき還元くわんげんせしめようとしてすべてのこずゑからうばつて、いたところ空濶くうくわつかつ簡單かんたんにすることをこのふゆには、くぬぎ枯葉かれは錯雜さくざつし、溷濁こんだくしてえねばならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れとも物質ぶつしつ變換へんくわん……物質ぶつしつ變換へんくわんみとめて、すぐ人間にんげん不死ふしすとふのは、あだか高價かうかなヴアイオリンがこはれたあとで、其明箱そのあきばこかはつて立派りつぱものとなるとおなじやうに、まことわけわからぬことである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)