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片褄
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かたづま
ふりがな文庫
“
片褄
(
かたづま
)” の例文
前へ立ったのは、
蓑
(
みの
)
を着て、竹の子笠を
冠
(
かぶ
)
っていました。……端折った
片褄
(
かたづま
)
の
友染
(
ゆうぜん
)
が、
藁
(
わら
)
の
裙
(
すそ
)
に優しくこぼれる、
稲束
(
いなたば
)
の根に嫁菜が咲いたといった形。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
門口から、すぐに、かごに乗る、雪之丞、かごに引き添って、
片褄
(
かたづま
)
を、ぐっとはしょって、走りだす、闇太郎
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
筒袖かとも思われるような袂のせまい
袷
(
あわせ
)
の上に、手織り
縞
(
じま
)
のような綿入れの袖無し
半纒
(
はんてん
)
をきて、
片褄
(
かたづま
)
を
端折
(
はしょ
)
って藁草履をはいているが、その草履の音がいやにびしゃびしゃと響くということであった。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
席
(
せき
)
へ、
薄
(
うす
)
い
真綿
(
まわた
)
が
羽二重
(
はぶたへ
)
へ
辷
(
すべ
)
つたやうに、さゝ……と
唯
(
たゞ
)
衣
(
きぬ
)
の
音
(
おと
)
がして、
膝
(
ひざ
)
を
組
(
く
)
むだ
足
(
あし
)
のやうに、
友染
(
いうぜん
)
の
端
(
はし
)
が、
席
(
せき
)
をなぞへに、たらりと
片褄
(
かたづま
)
に
成
(
な
)
つて
落
(
お
)
ちた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
片褄
(
かたづま
)
をはしょって、吹き流しの手拭を
銜
(
くわ
)
えるように、暴動市民の群から少しはなれて
佇
(
たたず
)
んだ雪之丞——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
眉が意気で、口許に情が
籠
(
こも
)
って、きりりとしながら、ちょっとお転婆に
片褄
(
かたづま
)
の緋の
紋縮緬
(
もんちりめん
)
の崩れた
媚
(
なまめ
)
かしさは、田舎源氏の——名も通う——
桂樹
(
かつらぎ
)
という風がある。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、言う
呑気
(
のんき
)
な声が聞えて、やがて、人山を割って、一人の職人とも、遊び人ともつかないような風体の、
縞物
(
しまもの
)
の
素袷
(
すあわせ
)
の
片褄
(
かたづま
)
をぐっと、引き上げて、左手を
弥蔵
(
やぞう
)
にした、苦みばしった若者が現れた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
といいあえず、上着の
片褄
(
かたづま
)
掻取
(
かいと
)
りあげて
小刻
(
こきざみ
)
に足はやく、
颯
(
さっ
)
と芝生におり立ちぬ。高津は見るより
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寄せたその
片褄
(
かたづま
)
が、ずるりと前下りに、
前刻
(
さっき
)
のままで、小袖幕の
綻
(
ほころ
)
びから一重桜が——芝居の花道の路之助のは、ただこれよりも緋が燃えた——誘う風にこぼるる風情。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
激しく
跣足
(
はだし
)
になり、
片褄
(
かたづま
)
を引上ぐ、
緋
(
ひ
)
の
紋縮緬
(
もんちりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
艶絶
(
えんぜつ
)
なり。
爺
(
おやじ
)
の手をぐいと
曳
(
ひ
)
く。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飄然
(
ひょうぜん
)
として橋を渡り去ったが、やがて中ほどでちょっと振返って、滝太郎を見返って、そのまま
片褄
(
かたづま
)
を取って引上げた、白い
太脛
(
ふくらはぎ
)
が見えると思うと、
朝靄
(
あさもや
)
の中に見えなくなった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その下に、前と
後
(
うしろ
)
を、おなじ消防夫に遮られつつ、口紅の色も白きまで顔色をかえながら、かかげた
片褄
(
かたづま
)
、
跣足
(
はだし
)
のまま、宙へ乗って、前へ出ようと身をあせるのは清葉であった。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
吸子
(
きゆうす
)
を取って、
沓脱
(
くつぬぎ
)
を、向うむきに
片褄
(
かたづま
)
を
蹴落
(
けおと
)
しながら、美しい眉を開いて
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とにかく、お寺まで、と云って、お京さん、今度は
片褄
(
かたづま
)
をきりりと
端折
(
はしょ
)
った。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いいながら土手に胸をつけて、
袖
(
そで
)
を草に、
太脛
(
ふくらはぎ
)
のあたりまで、
友染
(
ゆうぜん
)
を
敷乱
(
しきみだ
)
して、すらりと片足
片褄
(
かたづま
)
を泳がせながら、こう
内
(
うち
)
へ
掻込
(
かきこ
)
むようにして、鉛筆ですらすらとその
三体
(
さんたい
)
の秘密を
記
(
しる
)
した。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
早朝上野の
不忍
(
しのばず
)
の池の
蓮見
(
はすみ
)
に
歩行
(
ある
)
いて、草の露のいと繁きに
片褄
(
かたづま
)
を取り上げた
白脛
(
しらはぎ
)
を
背後
(
うしろ
)
から見て、既に成女の肉附であるのに一驚を喫した書生がある、その時分から今も相変らず、美しい
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おくれ毛を、掛けたばかりで、櫛もきちんと
挿
(
ささ
)
っていましたが、
背負
(
しょい
)
上げの結び目が、まだなまなまと血のように片端
垂
(
さが
)
って、踏みしめて
裙
(
すそ
)
を
庇
(
かば
)
った上前の
片褄
(
かたづま
)
が、ずるずると地を
曳
(
ひ
)
いている。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
片褄
(
かたづま
)
取って、その
紅
(
くれない
)
のはしのこぼれたのに、
猶予
(
ためら
)
って
恥
(
はずか
)
しそう。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
褄
漢検1級
部首:⾐
13画
“片褄”で始まる語句
片褄端折
片褄蹴出