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片口
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かたくち
ふりがな文庫
“
片口
(
かたくち
)” の例文
十太夫がやり返そうとすると、おわかが小女たちと共に、
角樽
(
つのだる
)
や
片口
(
かたくち
)
や、
燗鍋
(
かんなべ
)
をかけた火鉢などを運んで来、賑やかに燗の支度を始めた。
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
盜みし當人の
出
(
いで
)
ざる中は文右衞門の
片口
(
かたくち
)
のみにて
免
(
ゆる
)
す
譯
(
わけ
)
には成り難く尤も百兩の
紛失
(
ふんじつ
)
は言掛りなしたる久兵衞こそ
怪
(
あや
)
しき者なれと
敏
(
とく
)
に
眼
(
め
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
快
(
こゝろ
)
よくおつぎに
命
(
めい
)
じた。おつぎは
古
(
ふる
)
い
醤油樽
(
しやうゆだる
)
から
白漬
(
しろづけ
)
の
薤
(
らつきやう
)
を
片口
(
かたくち
)
へ
出
(
だ
)
しておつたの
側
(
そば
)
へ
侑
(
すゝ
)
めた。
勘次
(
かんじ
)
は一つ
撮
(
つま
)
んでかり/\と
噛
(
かじ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さて禁酒を破る筋にも無理がなく、湯呑で一杯から二杯、三杯と増し、遂に
片口
(
かたくち
)
から二升
樽
(
だる
)
と段々に無法になる作り方好し。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
「お前の
片口
(
かたくち
)
ばかりでは判らん。兎もかくも小幡に逢つて、先方の了簡を訊いてみよう、萬事はおれに任しておけ。」
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
さて、この村から
一
(
ひ
)
と
条
(
すじ
)
に
浄法寺
(
じょうほうじ
)
へとぬける街道がある。今でもそうだが、多くの者が
椀
(
わん
)
だとか
片口
(
かたくち
)
だとか木皿だとかを
担
(
にな
)
って
市日
(
いちび
)
へと出かけてゆく。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
酒は
新川
(
しんかわ
)
の
鹿島
(
かしま
)
や
雷門前
(
かみなりもんまえ
)
の
四方
(
よも
)
から取り、椀は
宗哲
(
そうてつ
)
の
真塗
(
しんぬ
)
り、
向付
(
むこうづ
)
けは
唐津
(
からつ
)
の
片口
(
かたくち
)
といったふうな凝り方なので
顎十郎捕物帳:18 永代経
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
桟敷下の
蓆
(
むしろ
)
の上へ
胡坐
(
あぐら
)
をかいて、
人集
(
ひとだか
)
りの模様には頓着なく、まず酒樽の酒を
片口
(
かたくち
)
へうつして、それを茶碗へさして廻り、そこから
蒟蒻
(
こんにゃく
)
や油揚や芋の煮しめの
経木皮包
(
きょうぎがわづつみ
)
を拡げ、
冷
(
ひや
)
でその酒を飲み廻し
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
當藥
(
たうやく
)
煎
(
せん
)
じ
出
(
だ
)
して
氣日
(
まいんち
)
俺
(
お
)
れ
片口
(
かたくち
)
で五
杯
(
へえ
)
づゝも
飮
(
の
)
んだな、五
合
(
がふ
)
位
(
ぐれえ
)
へえつけべが、
俺
(
お
)
ら
呼吸
(
えき
)
つかずだ、なあに
呼吸
(
えき
)
ついちや
苦
(
にが
)
くつて
仕
(
し
)
やうねえだよ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「お前の
片口
(
かたくち
)
ばかりでは判らん。ともかくも小幡に逢って、先方の
料簡
(
りょうけん
)
を訊いてみよう、万事はおれに任しておけ」
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
益子は東京に一番近い大きな窯場とて、東京の台所で用いられる雑器の多くは、この窯から運ばれます。鍋、
行平
(
ゆきひら
)
、
片口
(
かたくち
)
、
擂鉢
(
すりばち
)
、土瓶、火鉢、
水甕
(
みずがめ
)
、塩壺など様々のものを作ります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
何分にも死人に口無しで、単に祐道の
片口
(
かたくち
)
に
拠
(
よ
)
るのほかは無いのであるが、彼は左のごとく陳述した。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そんでも
店臺
(
みせでえ
)
は四つ
足
(
あし
)
へ
何
(
なに
)
か
穿
(
は
)
いてら、
土鍋
(
どなべ
)
に
片口
(
かたくち
)
に
皿
(
さら
)
だ、どれも/\
能
(
よ
)
く
打
(
ぶ
)
つ
缺
(
か
)
けてらあ」
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
だが石見のこれらの窯では赤瓦のみではない、
大甕
(
おおがめ
)
を焼き、
捏鉢
(
こねばち
)
、すり鉢、べに鉢、
片口
(
かたくち
)
、壺類を焼く。
厖大
(
ぼうだい
)
な窯であるからそれも多量に焼く。なかんずく
来待石
(
きまちいし
)
を使った赤褐色の大甕が多い。
雲石紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
雑器の中で主なものは
水甕
(
みずがめ
)
、
壺
(
つぼ
)
、
丼
(
どんぶり
)
、
煮上皿
(
にあげざら
)
、
片口
(
かたくち
)
、
火鉢
(
ひばち
)
等である。釉は鉄であるが形いずれも強く、その力は他の窯では容易に見られない。町に売る繊細ないわゆる「
下
(
くだ
)
り
物
(
もの
)
」とは比較にならない。
現在の日本民窯
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“片口”で始まる語句
片口注