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溌
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ぱっ
ふりがな文庫
“
溌
(
ぱっ
)” の例文
今はこうと、まだ消え果てぬ夫人に
縋
(
すが
)
ると、
靡
(
なび
)
くや黒髪、
溌
(
ぱっ
)
と薫って、
冷
(
つめた
)
く、
涼
(
すずし
)
く、たらたらと腕に
掛
(
かか
)
る。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其切先
(
そのきっさき
)
は
危
(
あやう
)
くも巡査の喉を
掠
(
かす
)
めて、
背後
(
うしろ
)
の岩に
戞然
(
がちり
)
と
中
(
あた
)
ると、
溌
(
ぱっ
)
と立つ火花に敵は眼が
眩
(
くら
)
んだらしい。
其隙
(
そのすき
)
を見て巡査は再び組んだ。
背
(
せい
)
の低い敵は巡査の足を取った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これまた慌てて帰ったとの事だが、この噂が
溌
(
ぱっ
)
と
立
(
たっ
)
て、客人の足が絶え営業の継続が出来ず、
遂々
(
とうとう
)
この
家
(
いえ
)
も
営業
(
しょうばい
)
を
廃
(
やめ
)
て、
何処
(
どこ
)
へか
転宅
(
てんたく
)
してしまったそうだ、それに付き或る者の話を聞くに
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
その段を昇り切ると、
取着
(
とッつき
)
に
一室
(
ひとま
)
、新しく
建増
(
たてま
)
したと見えて、
襖
(
ふすま
)
がない、白い
床
(
ゆか
)
へ、月影が
溌
(
ぱっ
)
と射した。両側の部屋は皆
陰々
(
いんいん
)
と
灯
(
ともし
)
を置いて、
鎮
(
しずま
)
り返った
夜半
(
よなか
)
の事です。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
敵は血に
染
(
そ
)
みたる洋刃を
揮
(
ふる
)
って、更に市郎を目がけて飛び
蒐
(
かか
)
って来たが、
其
(
そ
)
の
眼前
(
めさき
)
に
恰
(
あだか
)
も燐寸の火が
溌
(
ぱっ
)
と燃ゆるや、彼は電気に打たれたように、
猝
(
にわか
)
に刃物をからりと落して、両手で顔を
掩
(
おお
)
ったまま
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
霧の中に
笑
(
わらい
)
の
虹
(
にじ
)
が、
溌
(
ぱっ
)
と渡った時も、独り
莞爾
(
にっこり
)
ともせず、
傍目
(
わきめ
)
も
触
(
ふ
)
らず、同じようにフッと吹く。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
溌
(
ぱっ
)
としちゃあ、お客にまで気を悪くさせるから伏せてはあろうが、お前さんだ、今日は剃刀を
扱
(
つか
)
わねえことを知っていそうなもんだと思うが、
楼
(
うち
)
でも気がつかねえでいるのかしら。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
颯
(
さっ
)
と揺れ、
溌
(
ぱっ
)
と散って、星一ツ一ツ鳴るかとばかり、
白銀
(
しろがね
)
黄金
(
こがね
)
、水晶、
珊瑚珠
(
さんごじゅ
)
、
透間
(
すきま
)
もなく
鎧
(
よろ
)
うたるが、月に照添うに露
違
(
たが
)
わず、されば
冥土
(
よみじ
)
の色ならず、真珠の
流
(
ながれ
)
を渡ると覚えて
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土曜日は
正午
(
ひる
)
までで授業が済む——教室を出る娘たちで、照陽女学校は一斉に温室の花を緑の空に開いたよう、
溌
(
ぱっ
)
と
麗
(
うららか
)
な日を浴びた色香は、百合よりも芳しく、
杜若
(
かきつばた
)
よりも紫である。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
病人を包んだ空気が何となく
溌
(
ぱっ
)
とひらくという
国手
(
せんせい
)
だから、もう大丈夫。——
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見上げた
破風口
(
はふぐち
)
は峠ほど高し、とぼんと野原へ出たような気がして、
縁
(
えん
)
に添いつつ
中土間
(
なかどま
)
を、
囲炉裡
(
いろり
)
の前を向うへ通ると、
桃桜
(
ももさくら
)
溌
(
ぱっ
)
と輝くばかり、
五壇
(
ごだん
)
一面の
緋毛氈
(
ひもうせん
)
、やがて四畳半を
充満
(
いっぱい
)
に雛
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
埃
(
ほこり
)
やら、砂やら、
溌
(
ぱっ
)
と立って、がたがたと揺れて曇る。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
溌
漢検準1級
部首:⽔
12画
“溌”を含む語句
活溌
溌剌
溌々
溌地
溌溂
溌墨
悧溌
不活溌
利溌
溌墨淋漓
溌刺
活溌溌地
溌猴
溌〻
溌皮
溌藍
無頼溌皮
生々溌剌
生気溌剌
生気溌溂
...