注連繩しめなは)” の例文
新字:注連縄
それからしよく供物くもつ恰好かつかうよくして總代等そうだいられてつた注連繩しめなはもみからもみつて末社まつしやかざりをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
正月しやうぐわつのおかざりを片付かたづける時分じぶんには、村中むらぢう門松かどまつ注連繩しめなはなどをむらのはづれへつてつて、一しよにしてきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
見遍みわたせば両行の門飾かどかざりは一様に枝葉の末広く寿山じゆざんみどりかはし、十町じつちよう軒端のきばに続く注連繩しめなはは、福海ふくかいかすみ揺曳ようえいして、繁華を添ふる春待つ景色は、うたり行くとしこんおどろかす。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
與吉よきち天日てんぴおほふ、しげつた五抱いつかゝへもあらうといふみき注連繩しめなはつたくすのき大樹だいじゆに、あたかやまおもところに、しツきりなくりかゝるみどりなかに、ちてかさなるうへ
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それは榛軒の家に白木の唐櫃に注連繩しめなはを結ひ廻したものが床の間に飾つてあつたことである。櫃の中には後小松帝の宸翰二種と同帝の供御ぐごに用ゐられた鶴亀の文ある土器とが蔵してあつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あたりは眞暗まつくらところに、むしよりもちひさ身體からだで、この大木たいぼくあたか注連繩しめなはしたあたりにのこぎりつきさしてるのに心着こゝろづいて、恍惚うつとりとしてみはつたが、とほくなるやうだから、のこぎりかうとすると
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)