毛穴けあな)” の例文
光線こうせんをそそぐがごとくピラピラピラピラ! と吹きつけてきて竹童の目、竹童の耳、竹童の毛穴けあな、ところきらわずつきさッた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おぢさん「でもあのしるがすきなとりがあるとさ。そのとりると河馬かばはじつとして、あの毛穴けあななか黴菌ばいきんとりがとつてくれるのをまつてゐるんだつてさ。それがそのとり食物しよくもつなのさ」
なんでも安達あだちはら黒塚くろづかにはおにんでいて人をってうそうだなどという、たびあいだにふと小耳こみみにはさんだうわさをきゅうおもすと、体中からだじゅう毛穴けあながぞっと一つようにおもいました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
毛穴けあな不残のこらずうろこかはつて、かほいろへびのやうになつたらうとふさいだくらゐ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、そけてしまつたわたしあたまなかへんおもく、それにさむさがくははつててゾクゾク毛穴けあながそばつのがたまらなく不愉快ふゆくわいだつた。わたしくびをすくめていたあしりながらあるつづけてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
彼はせいの慾望と死の圧迫の間に、わが身を想像して、未練みれんに両方に往つたりたりする苦悶を心にゑがき出しながらじつすはつてゐると、脊中せなか一面いちめんかは毛穴けあなごとにむづ/\してほとんどたまらなくなる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ああ、いやな気持になった! はじめのうちはおもしろかったが、なんだかいまになって毛穴けあながゾーッとしてきやがった。へんなもんだなあ、人のられるッていうものは」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)