かは)” の例文
一年の生産の祝福・時節の移りかはり、などを教へに来る神わざを、段々忘却して人間が行ふ事になつた例は、内地にも沢山ある。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
車はせ、景は移り、境は転じ、客は改まれど、貫一はかはらざる悒鬱ゆううついだきて、る方無き五時間のひとりつかれつつ、始て西那須野にしなすのの駅に下車せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
謹みて按ずるに、神州は太陽のづる所、元気の始まる所にして、天つ日嗣ひつぎ、世々、宸極しんきよくを御し、終古かはらず。もとよりに大地の元首にして、万国の綱紀なり。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
尺蠖せきくわくは伸びて而もまたかゞみ、車輪は仰いで而も亦る、射る弓の力窮まり尽くれば、飛ぶ矢の勢変りかはりて、空向ける鏃も地に立つに至らんとす、此故に欲界の六天
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
これが何時も判で捺したやうにかはらぬ挨拶であつた。『勉強をして居るかね』と言はれても、当時一向勉強をいたして居りません僕には、この言葉がいつも痛く響いた。
浜尾新先生 (新字旧仮名) / 辰野隆(著)
汝ほどの學識ものしりは廣き東京みやこくほどにて、塵塚の隅にもごろごろと有るべし、いづれも立身出世の望みを持たぬはなく、各自めい/\ことはかはりて、出世の向きも種々さま/″\なるべけれど
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぢいさんにつゞいてりたものが四人程あつたが、入れかはつて、乗つたのはたつた一人ひとりしかない。もとから込み合つた客車でもなかつたのが、急に淋しくなつた。日の暮れた所為せゐかも知れない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ここにその后名は弟橘おとたちばな比賣の命の白したまはく、「妾、御子にかはりて海に入らむ。御子は遣さえし政遂げて、覆奏かへりごとまをしたまはね」とまをして、海に入らむとする時に、菅疊すがだたみ八重やへ皮疊かはだたみ八重やへ
「今此十余種者。半蔵於秘府。固非人間所得窺。而其存於侯国及人家僧院者。地有遠近。人有繁間。苟不梓而広之。其目覩之者能幾人。則雖存猶亡爾。」世うつり時かはつて、楓山もみぢやま文庫は内閣文庫となり
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
氣變じて時のかはるを悟り
崩浪亭主人 (旧字旧仮名) / 林芙美子(著)
神を守つた村君が亡びた事、そして村君の信仰の内容がかはつた事。此にも、内わけが三つ程に考へられる。倭本村の神をとり入れるか、飜訳して垂跡風にした類(一)。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
実に可懐なつかしかつたのです、顔を見ると手をつて、たゞち旧交きふこうあたゝめられるとわけで、其頃そのころ山田やまだわたし猶且やはり第二中学時代とかはらずしばんでましたから、往復わうふくともに手をたづさへて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
反歌に移ると、生れかはつた様に自在で、多少の叙事式構想をも、律化したものが多い。
其を、の各方面から解釈し、占あつて言ふ習慣に結びついて来た。家ほき・酒ほきの元は、人命の祝福の「ほ」を家・酒に求める事だつたのである。其が人と共に家・酒を祝福する事にかはつて了ふ。
日本文章の発想法の起り (新字旧仮名) / 折口信夫(著)