方々ほう/″\)” の例文
よるになると方々ほう/″\あるまはつて、たけのこ松茸まつたけいもいね大豆等だいずなど農作物のうさくぶつをあらしたり、ひ、野鼠のねずみうさぎなどもとらへて餌食ゑじきにします。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
お嬢様は毎日々々お念仏三昧ざんまいで入らっしゃいますよ、今日は盆の事ですから、方々ほう/″\お参りにまいりまして、おそく帰るところでございます
なかには無言で備付そなへつけの雑誌や新聞を見ながら、わざと列を離れてゐるのもある。はなし方々ほう/″\に聞える。話のかずかたまりの数より多い様に思はれる。然し割合に落付いて静かである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「えゝ、今日は方々ほう/″\を廻らなけりゃならないんで………」
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
日本につぽんでは明治維新めいじいしんのち森林しんりんをむやみにつた結果けつか方々ほう/″\洪水こうずいをかされ、明治二十九年度めいじにじゆうくねんどには二萬九百八十一町村にまんくひやくはちじゆういつちようそんといふものがみづにつかり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
この奧州屋の新助しんすけは一体お世辞のい人で、芸者や何かを喜ばせるのがきな人だから、何か褒めようと思って方々ほう/″\見廻したが、何も有りません。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何処どこつて方々ほう/″\行きました。然しどうもきつぽいもんだから」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
昔は芸妓を受出すにも造作も無い事でございましたが、今では身請というと実に方々ほう/″\さまの相場が大変な事で……
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
またうみのつよいかぜ濱邊はまべすなばして、砂丘さきゆうつくつたり、その砂丘さきゆうすなをまた方々ほう/″\はこんで、大事だいじはたや、ときによると人家じんかまでもうづめてしまふことがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
善「感心な事だ、其の志が面白い、貸して遣りますが、ちっ方々ほう/″\のお得意やお屋敷を教えて置かなければいかんが、戸田様のおやしきへ多助を遣ろうかのう番頭」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
へい御門番だからといって御門計りを守ってはりませんへい、庭も奥も守ります、へい方々ほう/″\を守るのが役でございます、御門番だからと申して奥へ盗賊どろぼうが這入り
男「えゝ新吉さんは此方こちらにおいでなさいますか、ちょっくらけえって、うちは騒ぎが出来ました、お累さんが飛んだ事になりましたから方々ほう/″\捜して居たんだ、すぐけえって下せえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宝がないから仏の力をもって金を貸してくれろと云った所が、釋迦しゃかがそれは誠に心懸こゝろがけとうとい事じゃと云って貸したのがすなわちこのお経じゃ、又御札おふだをやるから方々ほう/″\って置いて
助「東京へは久しぶりで出てまいって、それに又様子が変りましたな、どうも橋が石で出来たり、かわらうちが出来たり、方々ほう/″\が変って見違えるように成りました、その温泉は何処どこらでがんすか」
それにいては優気やさしげなお嬢さんは、身寄頼りもねえ人だから、病人が死なばおらがの女房に貰いてえと友達にしゃべっただ、馬十ばじゅうてえ奴と久藏てえ奴が、ぱっ/\と此れを方々ほう/″\へ触れたんだから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
梅「まアお前何処へ行って居たかと思って方々ほう/″\捜したよ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)