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撫下
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なでおろ
ふりがな文庫
“
撫下
(
なでおろ
)” の例文
二人は恐る恐る霊公の顔色を
窺
(
うかが
)
った。二人の見出したものは、底意の無さそうな、唯淫らな、
脂下
(
やにさが
)
った笑い顔である。二人はホッと胸を
撫下
(
なでおろ
)
した。
妖氛録
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
撰
(
えら
)
び
結納
(
ゆひなふ
)
のお
取交
(
とりかはせ
)
も致さんと言れて忠兵衞
胸
(
むね
)
撫下
(
なでおろ
)
し夫
拜承
(
うけたまは
)
り
安堵
(
あんど
)
しました實は
云々
(
これ/\
)
若旦那に誓つて置し事なれば
設
(
も
)
し御
承知
(
しようち
)
のない時は
如何
(
いかゞ
)
爲
(
なさ
)
んと
腹
(
はら
)
の中で一方
成
(
なら
)
ず心配を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
兎
(
と
)
にかく市郎の身に
恙
(
つつが
)
なかったのは何よりの
幸福
(
さいわい
)
であったと、お葉は安堵の胸を
撫下
(
なでおろ
)
すと同時に、我が
眼前
(
めのまえ
)
に雪を浴びて、
狗児
(
いぬころ
)
のように
跼
(
うずく
)
まっている重太郎を哀れに思った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
森田氏は
履刷毛
(
くつばけ
)
で鼻先を
撫下
(
なでおろ
)
されたやうな顔をした。成程考へてみると、自分はバビロンの塔を知つてゐるが、それを知つてゐるからと言つて画は
巧
(
うま
)
く
描
(
か
)
けさうにも思へない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と二包の薬を与えけるに大原は
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
しとて帰り去りぬ。お登和嬢も窃に胸を
撫下
(
なでおろ
)
したり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
彼は長き
髯
(
ひげ
)
を
忙
(
せはし
)
く
揉
(
も
)
みては、又
頤
(
おとがひ
)
の
辺
(
あたり
)
より
徐
(
しづか
)
に
撫下
(
なでおろ
)
して、
先
(
まづ
)
打出
(
うちいだ
)
さん
語
(
ことば
)
を案じたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一同
安堵
(
あんど
)
の胸を
撫下
(
なでおろ
)
した事は既報の通りである。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と胸を
撫下
(
なでおろ
)
し
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「イヤ、違ふ、違ひます。成程東京のもひどいにはひどいが……」樺島氏は同じやうな事を言つて、同じやうに鼻の先を
撫下
(
なでおろ
)
した。「しかし僕の見た所では大阪よりはましのやうです。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
來りしや
先
(
まづ
)
此方
(
こなた
)
へ
這入
(
はい
)
られよと云ふに初瀬留は
御免成
(
ごめんなさ
)
れと戸口を入り
漸々
(
やう/\
)
に
胸
(
むね
)
撫下
(
なでおろ
)
し餘りの
御懷
(
おなつか
)
しさに
今宵
(
こよひ
)
廓
(
くるわ
)
を
逃亡
(
かけおち
)
して此處へ來りしと
物語
(
ものがた
)
りなど彼是なす中程なく夜も
明
(
あく
)
るにぞ喜八は
起出
(
おきいで
)
引窓
(
ひきまど
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
遁
(
のが
)
れ
漸々
(
やう/\
)
我家へ歸りて
胸
(
むね
)
撫下
(
なでおろ
)
し誠に神佛の
御蔭
(
おかげ
)
にて
助
(
たすか
)
りたりと心の内に
伏拜
(
ふしをが
)
み吉之助には火事にて驚きたりと
僞
(
いつは
)
り彼の八十兩の金は
戸棚
(
とだな
)
の
隅
(
すみ
)
に重箱有りける故其中へ
入
(
いれ
)
置
(
おき
)
既
(
すで
)
に
休
(
やす
)
まんとする時表の戸を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
撫
漢検準1級
部首:⼿
15画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“撫”で始まる語句
撫
撫子
撫肩
撫育
撫養
撫付
撫民
撫斬
撫順
撫然