扇子あふぎ)” の例文
道中だうちうつかひふるしの蟹目かにめのゆるんだ扇子あふぎでは峠下たふげした木戸きどしやがんで、秋田口あきたぐち観光客くわんくわうきやくを——らはい、と口上こうじやうひさうで、照覧せうらんあれはことをかしい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
始め茂助藤兵衞等しきりと打悦び何分なにぶん宜敷よろしく御頼み申なりとて是より皆々みな/\食事しよくじなど致し十分其支度に掛りけるさて又三五郎はかねて重四郎よりの談話はなしもあれば金兵衞が子分等扇子あふぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
衣絞えもんあかるく心着こゝろづきけむ、ぎん青海波せいかいは扇子あふぎなかばほたるよりづハツとおもておほへるに、かぜさら/\とそよぎつゝ、ひかり袖口そでくちよりはらりとこぼれて、窓外さうぐわいもりなほうつくしきかげをぞきたる。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
誘引さそひに來たれども夫は用向ようむきもあればゆかれぬとことわりしに其時貴殿おまへ扇子あふぎを落して來たからかしくれろと云ふ故てつあふぎかしつた其日鴻の巣の金兵衞が金五百兩かちしを見ておのれは先へ廻り金兵衞が歸りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしは、先生せんせいなつ嘉例かれいとしてくだすつた、水色みづいろきぬべりをとつた、はい原製ばらせいすゞしい扇子あふぎを、ひざめて、むねしかつて車上しやじやう居直ゐなほつた。しかしてだいつて極暑ごくしよ一文いちぶんこゝろあんじた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
にした扇子あふぎを、その、はかまへ。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)