すさ)” の例文
こゑわめこえあはれ救助たすけもとむるこゑは、すさまじき怒濤どとうおと打交うちまじつて、地獄ぢごく光景ありさまもかくやとおもはるゝばかり。
蚊いぶし火鉢に火を取分けて三尺の椽に持出もちいだし、拾ひ集めの杉の葉をかぶせてふうふうと吹立ふきたつれば、ふすふすとけぶりたちのぼりて軒場のきばにのがれる蚊の声すさまじし
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
下弦げゞんつき皓々かう/\わたりて、金蛇きんだはしらすなみうへには、たゞ本艦ほんかん蒸滊機關じようききくわんひゞきのみぞすさまじかつた。
医者は心安きを招き家はぼくの太吉といふが名を借りて心まかせの養生、一月と同じ処に住へば見る物残らず嫌やに成りて、次第に病ひのつのる事見る目も恐ろしきほどすさまじき事あり。
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
數日すうじつ以來いらいかぜは、隨分ずいぶんすさまじいものであつたが、颶風タイフンつねとして、輕氣球けいきゝゆう幾度いくたびおなそらまわされてつたやうだから、左迄さまで遠方ゑんぽう氣遣きづかひはない、わたくしかんがへでは
身内や痛からん筒袖の処々引さかれて背中も腰も砂まぶれ、止めるにも止めかねて勢ひのすさまじさに唯おどおどと気をまれし、筆やの女房走り寄りて抱きおこし、背中せなをなで砂を払ひ、堪忍かんにんをし
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
身内みうちいたからん筒袖つゝそで處々ところ/″\ひきさかれて背中せなかこしすなまぶれ、めるにもめかねていきほひのすさまじさにたゞおど/\とまれし、ふでやの女房にようぼうはしりてきおこし、背中せなかをなですなはらひ、堪忍かんにんをし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)